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 アートでトイレに「革命」を――。白い便器をキャンバスに見立てて美しく彩る特殊シート「アートレッタ」が、デザインの本場・フランスに本格進出することになった。考案したのは仙台市の水道工事会社。きっかけは、東日本大震災でのある出来事だった。

 花柄や幾何学模様はおろか、キャラクターに浮世絵まで。アートレッタは便器の色を自在に変えることはもちろん、絵柄までも曲面に合わせて再現し、トイレ空間を華やかに演出する。でも、こんなことを思いついたのはなぜだったのか。

 「ショックだったんです。トイレは、汚してもいいと思われている場所なんだ、って」。開発した「泰光(たいこう)住建」(仙台市)の赤間晃治社長(39)は、あの頃を振り返る。

 2011年3月11日の震災直後から、不便な避難生活を改善しようと水道復旧工事に駆けずり回った。水洗トイレが使えるようになると人々は喜んだが、3日も過ぎると床や便器は汚し放題で、目を背けるほどに。「トイレに入りたくない」と避難所を去る人までいた。せっかく喜んでもらえたのに。自分たちの仕事は何だったのか――。

 そんな頃、本の中で米アップルの創業者スティーブ・ジョブズの言葉を知る。「パソコンがキャンバスに見えた」。そうだ、白い便器だってキャンバスじゃないか。以前は服飾デザイナーを志していた赤間さん。「デザインの力で『汚せないトイレ空間』をつくる」と決めた。

 製品化までは苦労の連続だった…

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