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 台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統は10日、中華民国誕生のきっかけとなった辛亥(しんがい)革命を記念する「双十節」の式典で演説した。過去にあった、中国に関係修復を呼びかける内容がなくなり、米国や日本との関係の緊密さを強調するものに変わった。

 台北の総統府前で行われる双十節の演説は、台湾総統が対中関係を含む対外施政方針を訴える機会となってきた。台湾独立志向を持つ民進党の蔡政権が2016年に発足して以降、中台関係は停滞しているが、蔡氏は過去2度の演説では「我々の善意や約束は変わらない」という言い回しを使い、中国に対し新たな関係構築を望む姿勢を示してきた。

 だが、この2年余り、中国の対応は厳しい。台湾と外交関係を結んでいたアフリカや中米の国々が相次ぎ断交、中国と国交を結び、外交圧力は高まっている。中台関係修復の目算は消えつつある。

 蔡氏は今回の演説で中国に対し、「責任ある大国として地域や世界で衝突の原因ではなく、より良い役割を果たすべきだ」と注文をつけ、「私は一時的な怒りで衝突や対抗に向かうことはない。民意に背いて台湾の主権を犠牲にすることもない」と訴えた。

 さらに「多くの国々が台湾を支持してくれている」と表明。米国のペンス副大統領による4日の中国批判演説や、災害時における日本との相互協力などを例に挙げ、政治理念の近い国との関係強化を進める意向を示した。(台北=西本秀