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 今回は、鼻水、せき、のどの痛み、発熱などの症状がみられる「子どものかぜ」についてお話しします。

 子どもはよく「かぜ」をひきます。子どものかぜの多くはウイルスの感染が原因です。

 鼻やのどの上気道に炎症を起こすかぜは、ほぼ自然経過で治る、軽症の場合が多いのですが、軽症とはいえ、お子さんが熱でぐったりしたり、せきや鼻づまりで夜眠れなかったりすると親御さんは不安になりますので、精神的負担は小さくありません。

 ウイルスは、他の生物の細胞を利用して増える非常に小さい粒子です。人から人へと感染し、うがい、手洗いをしても、完全に感染を防ぐことは難しいと考えられます。

 ウイルスの種類はたくさんあり、また、季節によって流行するウイルスも違うので、次から次へと感染を繰り返すこともあります。

 かぜをひいたお子さんの親御さんから「抗生物質を出して下さい」と言われることもありますが、ウイルスには抗生物質は効きません。このため、私たちが「かぜ」の患者さんによく処方するのは、ウイルスを倒すものではなく、せきを止めたり、鼻水やたんを出しやすくしたりして、「かぜ」の症状を和らげるお薬です。実際にウイルスを倒すのは患者さん自身が持つ免疫力です。抗生物質は、必要以上に投与すると、耐性菌といって、抗生物質が効きにくい菌を増やすことにつながります。

 では、「かぜをひいた時は、軽い症状なら医療機関を受診しないで放っておいてもいいの?」という疑問を持つ人がいるかもしれませんが、医療機関を受診することには、「自然経過を見ても良いものか否か」を見極める意味があります。

 例えば、発熱、のどの痛み、発疹などの症状を認める溶連菌感染症は、ウイルスではなく細菌感染症で、抗生物質が効きます。

 さらに、インフルエンザウイルスやヘルペスウイルスもかぜ症状を引き起こすウイルスですが、これらには抗ウイルス薬もあり、早めに診断し抗ウイルス薬を投与することで、症状の回復が早くなることもあります。

 また、中耳炎、喉頭(こうとう)炎、気管支炎、肺炎など、炎症が鼻やのどなどの上気道だけにとどまらない病気になっている場合もあります。

 発生頻度は少ないですが、髄膜炎、脳炎・脳症、心筋炎、川崎病など、絶対に見逃してはならない重大な病気が隠れていることがあります。インフルエンザ菌b型(ヒブ)や肺炎球菌のワクチンが導入され、細菌性髄膜炎は減少傾向にありますが、夏かぜのエンテロウイルスやおたふくかぜのウイルスの感染症で、髄膜炎を合併することもあります。

 特に子どもは自分で症状を訴えられず、診断が難しいので、できれば小児科医のいる医療機関を受診して全身の診察をしてもらうことが大切です。

 発熱はウイルスや細菌が増えるのを抑えるための免疫反応で、ウイルス感染の場合は2~3日で自然に下がることが多いです。しかし、医療機関を受診してかぜの症状を和らげる薬を服用しても、「発熱が長引いてぐったりしている」「呼びかけても反応が悪くなった」「水分をあまり取れず、尿が少ない」「呼吸がいつもより速く、苦しそう」「犬がほえるようにケンケンしたせきをしている」など、最初は軽症であっても注意が必要な症状がみられるようになった場合は、再受診することが大切です。

 繰り返される子どもの「かぜ」を、不安になりすぎず、正しく評価しながら乗り切るために、親御さんが「かぜ」について知識を持つことは大切なことだと思います。

<アピタル:弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/

(弘前大学大学院医学研究科小児科学講座助教 相澤知美)