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 伝統的な漁労と漁村の暮らしを伝える「鳥羽市立海の博物館」(三重県)の石原義剛(よしかた)さんが9月17日、館長のまま81歳で亡くなった。市に譲渡する昨年10月までの46年間、私設博物館として運営に腐心しながら資料収集を続け、消えゆく漁業の文化財を残した。全国の海女の調査にも力を尽くした。

 「経済一辺倒の時代からしたら反時代的な立ち位置の博物館なのに、よく持ちこたえた。身近な自然と暮らしの関係を日本人が立ち止まって振り返る時が来る。その時に、この博物館は日の目を見ると、考えていたのではないか」。現在の「海の博物館」を設計し、その後、日本を代表する建築家となった内藤廣(ひろし)・東大名誉教授(68)は、石原さんの死を悼んだ。

 博物館は網元出身で衆院議員を務めた父の円吉氏が私財を投じ、鳥羽市中心部に1971年に創設。石原さんはテレビ局を退社し、実務を取り仕切った。85年に古い木造船や海女漁具など6879点が国の重要有形民俗文化財に指定され、館長を継いでいた石原さんが移転を決めた。

 当時、市南部で「志摩芸術村」をセゾングループが計画。その構想を担当し、博物館設計を任されたのが内藤さんだった。

 80年代、美術館や博物館の新…

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