通りふさぐ船、土に埋まる家…津波が襲った島で見た笑顔

機動特派員・竹花徹朗
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 港から100メートル近く押し流された大型船が通りをふさいでいた。9月28日、マグニチュード7・5の地震と最大7メートルとも言われる津波が襲ったインドネシア・スラウェシ島中部パルの北約30キロにあるワニ。壊れた家々のがれきが海岸から数百メートル内陸にまで散乱する。

 取材に訪れたのは地震発生8日後の10月6日だったが、津波の猛威の痕跡はあちこちに残っていた。

 携帯電話のアプリで調べると気温は34度。大学生のナウファルさん(20)の顔を強い日差しが照らした。近くの避難所で暮らすが、木材や壊れた家財道具が散乱する自宅跡で、使えるものがないか探していた。地震の際、自分は大学に、家族も外出先にいて無事だった。だが、「近所の住民は行方不明。「夜になると、『助けて』と声が聞こえる気がする」と話した。

 東日本大震災の取材もしてきたが、スラウェシ島の現場には見たことがない光景が広がっていた。

 沼地を宅地にしたというパル東部バラロア地区では一帯の地面が数メートル隆起し、多くの家々が埋まっていた。「建物が揺れながら土の中に埋まっていった」と住民らは証言した。

 インドネシア国家防災庁によると、被害(11日時点)は死者2073人、行方不明者680人。パルでは5千人が行方不明との情報もあるが、政府は重機などを使った大がかりな捜索を11日に打ち切った。

 悲しみや無力感が漂う被災地でも子どもたちは元気だった。カメラを向けると笑顔でピースサインをしてくれた。取材で会った大人たちも、多くが笑顔で迎えてくれた。困難に明るく立ち向かう力強さを感じた。

 インドネシアは復興計画づくりの支援を日本政府に要請したという。地震で多くを失った経験を共有する日本だからこそ、助け合えるはずだ。(機動特派員・竹花徹朗