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変わる資産運用

 投資は余裕資金で行うと聞きました。私は資産がないので投資はすべきではないのでしょうか。投資は資産家のものでしょうか。

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 日本では、投資は資産家がすることで庶民には関係ないとか、お金がたまってから投資を始める、投資はギャンブル、コツコツ働けば投資は不要、といった意識が根強くあります。

 では多くの人にとって資産運用の目的は何でしょう。それは老後に必要な資金を形成するためです。資産が少ない人が長期間かけて資産運用をし、老後の資産形成をするのです。

 すでに一生使いきれない資金が手元にあるなら運用は不要です。資産運用は本来、資産の少ない人が老後の資産をつくり、リタイア後は資産寿命を延ばすために行うのです。

 しかし現実は逆です。富裕な資産家が運用で資産を増やし、本来運用をすべき人がしていません。そのため格差は広がる一方というのが実情です。

 日本では、お金は額に汗して稼ぐもので、不労所得は良くないという人も多いと思います。しかし海外に目を向けると、全く異なる価値観で運用に取り組んでいます。

 前回紹介したように、米国では運用を始める際に「ゴールベースアプローチ」という手法を用いています。数十年後までの顧客の目標(ファイナンシャルゴール)から逆算して、現在すべき運用方法を実行するのです。

 例えば、若い20代からリタイア時に金融資産1億円の資産形成を目標にして、給料の10%を天引きにして、投資信託の積み立て投資を始める、といった具合です。資金がたまってから投資を始めるのではなく、資産をためるために投資を始めます。計画的な行動なのです。

 積み立てると言っても月々数万円ではないか、と思われるかもしれません。しかし長期の積み立て投資で複利運用を行うと意外なほど資産が増加します。

 例えば、日本の中小型株式で運用する投資信託で2008年から17年末までの10年間、毎月5万円の積み立て投資をした結果、当初の600万円が3000万円に増えた商品もあります。

 これはかなり運用に成功した例ですが、皆さんの中には、もっと長期の投資が可能な人や、積立額を増やせる人もいるでしょう。そうした人はさらに有利な資産運用が可能です。

 米国人にとって資産運用はギャンブルではありません。相場変動を予測する短期売買や、仮想通貨のような一獲千金を夢見るような取引をファイナンシャルアドバイザーは顧客に勧めません。積み立て投資やポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)理論に基づいた分散投資を顧客に提案し、長期での資産形成を計画的に実行します。

 日本では共働きの夫婦が増えています。自分以外の働き手がいるのは頼もしいことです。米国人は自分が働き、ためた資産にも働いてもらうという意味での共働きをしているのです。

 投資は余裕資金で行うべきだという意見は正しいと思います。しかしそれは、資産がたまるまで運用はしないということではありません。自分のファイナンシャルゴールを設定し、計画的に余裕資金を運用していく必要があるのです。(ファイナンシャルスタンダード代表取締役 福田猛)