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 25日のプロ野球ドラフト会議を前に、国指定の難病の腎疾患を乗り越え、指名を心待ちにする選手がいる。社会人野球の強豪・ホンダ鈴鹿(三重県鈴鹿市)のエース左腕、平尾奎太(けいた)投手(24)。大阪桐蔭高で、同学年の藤浪晋太郎投手(現阪神)らと春夏連覇を果たしながら、大学時代は闘病生活で2年間もグラウンドを離れた。同じ境遇の子どもに、プロのマウンドで夢を与えたいと願う。

 大阪府泉佐野市生まれ。NTT北陸で11年間プレーした父の健二さんに憧れ、小学2年生で野球を始めた。プロ野球選手になり、父を超えようと、大阪桐蔭に進み、2年生の春にはベンチ入りした。

 体の異変に気づいたのは、秋季大会直前の2年秋だった。学校の健康診断で受けた尿検査の結果、腎臓に異常が見つかった。昼休み、西谷浩一監督から校内放送で呼び出され、病院へ向かうよう命じられた。

 「まず野球はあきらめてください」。腎不全になる恐れもあり、医師からは2年間運動を禁止して治療に専念するように告げられた。自覚症状はなく、信じられなかった。

 「そんなん嫌です」。甲子園を、あきらめることはできなかった。医師とは高校野球が終わったら治療に専念すると約束し、3年夏までプレーした。グラウンドに立つからには、病気を言い訳に妥協することはなかった。エースの藤浪投手、沢田圭佑投手(現オリックス)に次ぐ、3番手投手としてベンチ入りし、春夏連覇を支えた。

 卒業後は同志社大学へ進学。医師との約束通り、2年間はグラウンドから離れ、治療に専念した。散歩などの軽い運動も禁止され、毎日10錠以上の薬を飲んだり、点滴を繰り返したりしながら回復に努めた。

 高校、大学を通じて支えになったのは、1型糖尿病を抱えながらプロで活躍していた岩田稔投手(阪神)だった。大阪桐蔭の先輩でもある岩田投手が入院中に見舞いに来て、こう励ましてくれた。「病気は神様が乗り越えられる人にしか与えない」。その数日後、完封勝利をあげた岩田投手の姿に勇気づけられた。

 症状が改善した大学3年の春、本格的に練習を再開させた。「野球が出来ることに感謝」とグラブに刺繡(ししゅう)し、練習に打ち込んだ。

 3年秋に大学初勝利をあげると、4年にはリーグのベストナインに選ばれる活躍を見せた。ホンダ鈴鹿に入社後も1年目から都市対抗野球で2試合に登板し、14回を無失点に抑え、社会人の日本代表に選出。188センチの長身から繰り出される切れ味鋭い変化球に加え、球威や投球術にも磨きがかかり、プロの世界が現実味を帯びてきた。腎機能の異常は現在はなく、安定している。

 プロ野球を目指す理由は、もう憧れの父を超えるためだけではない。「プロへ行くことで、同じ病気の子どもたちに勇気を与えたい。病気だからといって、あきらめるのはもったいない」。新たな志を胸に、運命の日を待つ。(三浦惇平)

ドラフト2018 12球団指名選手一覧(2018年10月25日20時42分更新)

阪神
順位 氏名 守備 所属
× 藤原恭大 大阪桐蔭
× 辰己涼介 立命大(社)
1 近本光司 大阪ガス(関学大・社)
2 小幡竜平 延岡学園
3 木浪聖也 ホンダ(亜大・青森山田)
4 斎藤友貴哉 ホンダ(桐蔭横浜大・山形中央)
5 川原陸 創成館
6 湯浅京己 BCリーグ富山(聖光学院)
中日
順位 氏名 守備 所属
1 根尾昂 大阪桐蔭
2 梅津晃大 東洋大(仙台育英)
3 勝野昌慶 三菱重工名古屋(土岐商)
4 石橋康太 関東一
5 垣越建伸 山梨学院
6 滝野要 大商大(大垣日大)
DeNA
順位 氏名 守備 所属
× 小園海斗 報徳学園
1 上茶谷大河 東洋大(京都学園)
2 伊藤裕季也 立正大(日大三)
3 大貫晋一 新日鉄住金鹿島(日体大・桐陽)
4 勝又温史 日大鶴ケ丘
5 益子京右 青藍泰斗
6 知野直人 BCリーグ新潟(第一学院)
巨人
順位 氏名 守備 所属
× 根尾昂 大阪桐蔭
× 辰己涼介 立命大(社)
1 高橋優貴 八戸学院大(東海大菅生)
2 増田陸 明秀日立
3 直江大輔 松商学園
4 横川凱 大阪桐蔭
5 松井義弥 折尾愛真
6 戸郷翔征 聖心ウルスラ
ヤクルト
順位 氏名 守備 所属
× 根尾昂 大阪桐蔭
× 上茶谷大河 東洋大(京都学園)
1 清水昇 国学院大(帝京)
2 中山翔太 法大(履正社)
3 市川悠太 明徳義塾
4 浜田太貴 明豊
5 坂本光士郎 新日鉄住金広畑(如水館・日本文理大)
6 鈴木裕太 日本文理
7 久保拓真 九州共立大(自由ケ丘)
8 吉田大成 明治安田生命(佼成学園・明大)
広島
順位 氏名 守備 所属
1 小園海斗 報徳学園
2 島内颯太郎 九州共立大(光陵)
3 林晃汰 智弁和歌山
4 中神拓都 市岐阜商
5 田中法彦 菰野
6 正随優弥 亜大(大阪桐蔭)
7 羽月隆太郎 神村学園