ダム湖渡り通う故郷、山を売らなかった旧徳山村民の思い

有料記事

保坂知晃 室田賢
【動画】ボートと車を乗り継いで、旧村域の所有地をめざす今井三千穂さん=細川卓、保坂知晃撮影
[PR]

 国内最大の総貯水容量6億6千万トンを誇る徳山ダム岐阜県揖斐川町)の完成式が開かれてから、13日で10年が経った。一つの村を犠牲にし、3300億円の巨費を投じた公共事業はその意義を果たしているのか。徳山の今を訪ねた。

 鏡のような湖面を、小型ボートが水しぶきを上げて進んでいく。

 徳山ダムの湖底には、かつて466世帯約1500人が暮らした旧徳山村(1987年廃村)が沈んでいる。

 「この下に門入(かどにゅう)に続く道があったんですわ」と、今井三千穂(みちほ)さん(73)=岐阜県本巣市=は湖面を指さした。門入は村にあった八つの集落の一つで、今井さんのふるさとだ。

 ダムを管理する独立行政法人水資源機構が運航するボートから船着き場にあるワゴン車に乗り換え、さらに山奥に。計40分ほどで携帯電話の電波が届かない山あいに一軒家が見えてきた。

 今井さんの家は、小ぶりな木…

この記事は有料記事です。残り2159文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら