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 大阪・ミナミに17日、新たなランドマークが誕生する。南海電気鉄道が旧本社跡に建てた難波駅直結の「なんばスカイオ」。オフィスを中心とした複合ビルで、訪日客に沸くミナミに「ビジネス」の機能を加えて、街の発展を促す。

 スカイオは地上31階・地下2階建て、高さ約148メートルのビル。15日、報道各社向けの内覧会があった。

 商業フロアは地下1階~6階にあり、飲食店や物販、銀行の支店など約40店が入る。特に5階は「日本の伝統・文化」、6階は「健康」をコンセプトとし、包丁のお店や象印マホービンが初めて出す常設のレストランなどがある。9階には人間ドックなどが受けられるクリニックが入り、海外からの「医療ツーリズム」の誘致を目指す。

 一方、全体の7割を占めるのは13~30階のオフィスフロア。10階のオフィスロビーの案内板には、大阪市西区から本社を移した鋼管大手「丸一鋼管」の名前があった。ほかにも順次、レジャー施設運営の「ラウンドワン」(堺市)などが本社を移すほか、米国発のシェアリングオフィス「WeWork(ウィーワーク)」も関西初の拠点を構えるという。

 南海によると、開業時点のオフィスの成約率は8割強と想定より好調。駅直結の立地をいかし、採用を有利に進めたいなどといった理由で入居を決めた企業も多いという。スカイオで働く人は4千人前後に上る見込みだ。(中島嘉克)

 南海は2028年3月期までの経営ビジョンで、「従来のなんばを越えた『グレーターなんば』を創造」すると掲げた。なんば地区は訪日客でにぎわう国際観光都市の顔を持つ一方、大阪駅周辺(キタ)と比べてビジネス街の側面は弱い。スカイオは、その強化策との位置付けだ。

 背景にあるのは、31年春に開業予定の鉄道新線「なにわ筋線」。完成すると、関西空港と大阪駅周辺が乗り換えなしでつながる。高木俊之専務は「最大拠点の難波駅が、通過駅になるリスクがある」とし、開業までに「エリアの魅力を磨いていく必要がある」と危機感を抱く。

 来年9月には大阪市のベンチャー「YOLO(ヨロ) JAPAN」と協業し、日本で働きたい外国人と日本企業とを引き合わせる拠点を難波駅の隣の新今宮駅近くにつくるという。今後も、難波の魅力向上につながる開発を加速する考えだ。

 なんばスカイオの開業を前に、南海電気鉄道専務でプロジェクト推進室長の高木俊之氏に新ビルの狙いなどを聞いた。

 ――スカイオをどういった施設にしていきたいか。

 「関西空港に直結する玄関口・難波のランドマークとして、世界を飛び回る人々の国際的な交流拠点にしたい。日本の伝統文化を体験するフロアや健康がテーマのフロアもある。その時代時代のニーズにあった施設にしていきたい」

 ――来場者数の目標は。

 「ビルの7割はオフィス。その性格上、来館目標は設定していない。オフィスは1万坪あるので、就業者は3500~4千人になると想定している。ただ、米国発のシェアリングオフィス『WeWork』は3フロアで計1400席ある。就業者数も想定よりやや増加するだろう」

 ――オフィスの成約状況はどうか。

 「開業時で8割強。市況がよいので、計画時の目標より1割強高い。残る1割強も、複数と商談中だ。賃料も大阪市内の相場が上がったことで、スカイオからの収入は見込んでいた年36億円から、40億円程度に増えそうだ」

 ――2月に発表した経営ビジョンで「グレーターなんば」を掲げた。

 「インバウンドでにぎわうコテコテ路線に徹するだけでなく、都市機能の充実は必須条件。スカイオをきっかけに、『国際観光都市としての発展』と『都市機能の充実』の両輪でエリアを育成する考えだ。難波駅のターミナルビルの再生はスカイオが集大成だが、これで終わりではない」

 ――2031年春に開業を予定する「なにわ筋線」の影響は。

 「南海沿線と梅田や新大阪が直結し、阪急電鉄ともつながる。南海沿線の利便性が飛躍的に向上するのは間違いないが、難波エリアが通過駅になるリスクも出てくる。街が魅力的でなければ人を呼び込めない。10年間で、いかに難波や南海沿線を魅力的なものにできるか。必ずしも自前の資産にこだわらず、アライアンスを重視して開発を広げていきたい」