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 プロ野球阪神の新監督に矢野燿大(あきひろ)・2軍監督(49)が就任することになった。球団からの就任要請に対し、15日、受諾の意向を伝えた。

 矢野氏は難しい状況でよく重責を引き受けたと思う。金本体制の継続を前提として内定していたコーチ陣は白紙になり、外部から人材を呼ぶにも、選手を補強するにも立ち遅れは否めない。ドラフト会議も25日に迫る。突然、空いたイスに座らされ、短時間で決断すべきことは山積みだ。

 金本監督の辞任への経緯から、球団内が一枚岩でなかったことも明らかになった。ナンバー2の谷本修本部長は続投を明言し、来季の体制づくりを進めていた。その裏で、新体制を望んだ阪神電鉄上層部と揚塩(あげしお)健治球団社長が、金本監督の辞任へ流れを作ったとされる。

 揚塩社長も本社と球団の板挟みになる苦労はあったとは思うが、球団内にはすきま風が吹いている。矢野氏は自分が監督になっても、球団が支えてくれるのか悩んだはずだ。大学時代からの盟友である金本監督に請われてコーチに就任した経緯もある。

 それでも引き受けたのは、この1年の手応えが背中を押したからだ。2軍監督に就いた今季は「超積極的野球」を掲げ、12年ぶりのファーム日本一に。163盗塁のウエスタン・リーグ新記録も樹立した。

 「俺は失敗した後の姿勢を見ている」と選手に伝えるなど、プラス思考を浸透させ、若手を萎縮させない手綱さばきが光った。勝ちながら育てる手腕に球団内の評価が跳ね上がり、今回の要請に至った。

 ただ、これを重圧の大きい1軍で貫けるか。福留や糸井、鳥谷らベテランをどう扱うかにも注目したい。(伊藤雅哉