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 熊本県上天草市龍ケ岳町高戸椚島(くぐしま)の渋谷神社で13日、漁の安全を祈り、子どもを水難事故から守る伝統行事「しぶやさん祭り」があった。今年は、祭神「しぶやさん」の子孫で菊池市在住の神官、渋江公昭(きみてる)さん(72)が招かれ、初めて祭事をつかさどった。

 苓北町在住の郷土史研究家、平井建治さん(71)によると、水神信仰の聖地とされる菊池市の天地元水神社では毎年7月、水神祭が開かれている。古代から渋江家が祭事をつかさどっており、とりわけ雨乞いの霊験あらたかとされる。同神社の信仰圏は広く、中国・京阪神地方にまでお守りが配られていたという。

 天草が天領だった1817(文化14)年、現在の苓北町にあった富岡代官所は儒学者の渋江●灘(とんたん)を迎え入れて富岡学寮(渋江塾)を開塾した。平井さんは、この●灘(とんたん)が天草一円に水神信仰を普及し、お守りを配っていた渋江家がいつの間にか「しぶやさん」として氏神の名前になったのではないかと推測している。

 平井さんらは数年前から渋江家の第43代、渋江公昭さんに、かつての歴史のなごりをとどめる渋谷神社で祭事をつかさどってほしいと依頼していた。

 この日は地元住民ら約70人が参加。氏子総代の古谷貞喜さん(70)は「はるばる菊池から来ていただき、大変感激している」。渋江さんは「地元のみなさんの信仰心があついのを実感しました」と話していた。(大矢雅弘)