一度絶滅した国の特別天然記念物トキの野生復帰10周年を祝う放鳥式が15日、新潟県佐渡市で開かれた。トキを育て、保護してきた地元の関係者や、トキを提供してきた中国の代表団、秋篠宮家の長女眞子さまらが見守るなか、11羽のトキが淡い桃色の羽を広げて飛び立っていった。

 この日の放鳥に向けては、佐渡トキ保護センターや東京都多摩動物公園など各地の飼育施設で生まれた19羽が、6月下旬から佐渡市の野生復帰ステーションで訓練されてきた。高く速く飛ぶ力やエサの捕り方などの能力を身につけたトキの中から、放鳥されるトキが選ばれた。

 環境悪化や乱獲から、国内産トキは2003年に絶滅。中国産トキ5羽から人工繁殖を繰り返し、08年からトキの放鳥が始まった。12年に放鳥されたトキのつがいからひなが生まれ、16年には自然界で生まれ育ったつがいから初めて「自然界2世」が誕生した。

 環境省によると、佐渡島で生息するトキは推定約350羽に増えたという。今後は安定的な繁殖のために遺伝的多様性の確保が期待されており、17日には中国から新たに2羽が佐渡トキ保護センターにやってくる。

 佐渡島ではトキのえさとなるドジョウなどの生き物が絶えないよう、農薬を減らした稲作を普及させるなど、官民あげた環境づくりに取り組んできた。(古西洋)