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 アルミより軽く、鉄より強い――。クルマの素材として注目される「炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics=CFRP)」をめぐり、中部電力が存在感を高めている。加工時間の大幅短縮につながる装置をトヨタ自動車向けに開発。トヨタが仕入れ先に贈る賞を2月、電力会社で初めて受賞した。

 CFRPは炭素繊維とプラスチックの複合材。鉄やアルミより軽く、強度や耐久性に優れる。ボーイングやエアバスの大型旅客機には1機あたり数十トンが使われている。

 需要増が期待できるのが自動車分野だ。燃費規制が強まり、自動車各社は電気自動車(EV)などの電動化技術だけでなく、車体を軽くする技術も必要としている。例えばトヨタは昨年発売のプリウスPHVで後部ドアの骨格にCFRPを採用。米ゼネラル・モーターズも大型トラックの荷台に使っている。

 この流れに乗ったのが、熱エネルギー技術を使った装置を開発してきた中部電だ。トヨタの求めで開発し、元町工場(愛知県豊田市)に昨年納めた急速加熱装置は、電気ヒーターと過熱水蒸気を使った小型炉の技術を応用。CFRPに効率良く熱を加えて軟らかくし、プレス加工を助ける。従来よりエネルギー使用量が8割少なく、加熱時間は7割短縮した。

 こうした性能が認められ、トヨタは仕入れ先の集まる大会で、豊田章男社長が「技術開発賞」を中部電と共同開発企業の豊電子工業(同県刈谷市)に贈った。中部電側のリーダーを務めた技術開発本部の長(おさ)伸朗さんは、電力販売の競争激化が開発を後押ししたと話す。「地域独占が崩れて以降、顧客が求めるものを生産現場まで立ち入ってつくる解決策が一層求められている」

 中部電は7月にも、厚さ1~2ミリのCFRPをカーボンヒーターで効率良く加熱できる汎用(はんよう)装置を開発した。10月にはトヨタに納めたのと同じ方式の技術を使い、5ミリまでの板を急速加熱する汎用装置も発表した。いずれも共同開発した企業を通し、部品メーカーなどに売り込んでいる。(山本知弘)