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 障害などを理由に不妊手術や中絶手術を進めた「旧優生保護法」により、意に沿わない手術をされた障害者らが、各地で国の責任を問う声を上げ始めた。神戸でも、9月に原告団が提訴。弁護団長に就いた藤原精吾弁護士(76)は「我々みんなの優生思想が今、問われている」と訴えている。

 学校新聞を作っていた灘高時代、新聞記者にあこがれたが、大学進学後、知人の勧めで法曹の道を選んだ。弁護士の原点は、駆け出し3年目に依頼者として出会った全盲の故・堀木フミ子さん。障害福祉年金の受給を理由に児童扶養手当の支給を断られ、「生存権」を定めた憲法25条に反するとして、県を相手に最高裁まで争った。人権訴訟として名高い「堀木訴訟」だ。

 「目が見えない人、耳が聞こえない人が自分の周りにいる。当たり前のことに気付かされた訴訟だった。初めは、堀木さんの支援者に叱られたよ」と苦笑する。以来、原爆症認定訴訟や生活保護費訴訟など、弱者の側に立ってきた。今回、提訴に踏み切った聴覚障害者の夫婦も、長く続けてきた障害者の法律相談の縁でつながった。

 優生保護法の思想は、人間に序列をつける考え方だと喝破する。「国家が人を『使えるか』『生産性があるか』で評価してはいけない。でも、実は今の社会にはびこっている考え方やと思う」と危惧する。「『みんなちがって、みんないい』が大事」。詩人金子みすゞの一節を引きながら、裁判を闘い抜く決意を固めている。(後藤遼太)