[PR]

 赤字経営が続く公立病院は閉鎖し、「公設民営」の新病院で将来の医療体制を整える――。兵庫県川西市がそんな基本構想案をまとめ、4年後の開院をめざしている。総事業費は274億円。計画は課題解決の「特効薬」なのだろうか。21日に投開票される市長選で誕生する新リーダーが、そのかじ取りを担う。

 構想を進めてきたのは、3期目の大塩民生市長(72)。市長選には立候補せず、今任期で引退する。市は、市民の意見を聴くパブリックコメントの受け付けをすでに終え、年内に計画を確定させる方針だ。

 市によると、閉鎖するのは、市北部にある市立川西病院(250床、東畦野5丁目)。築35年が経ち、市は「老朽化し、建て替える必要がある」とする。

 一方、新病院「市立総合医療センター」(仮称)は市が建設し、運営は市内の医療法人「協和会」が担う。市議会は3月、協和会を指定管理者とする議案を賛成多数で可決した。

 新病院は、中心市街地に移転する本院「キセラ川西センター」(400床、火打1丁目)と、現在の市立川西病院の敷地内につくる分院「北部診療所」からなる。協和会も市役所そばの協立病院(中央町、313床)を閉じ、新病院に統合する。

 市立川西病院の経営は「火の車」だった。

 医師不足による診療科や病床数の減少などで、経営は2002年度から赤字が続く。14年度決算では、資金不足比率が国の基準値を超え、「経営健全化団体」に転落した。

 市は毎年約10億円の補助金を病院に投じてきた。だが、市の財政も厳しいなか「それも限界」というのが、公設民営化の計画につながった。

 ただ、反発もある。

 一つは地域格差を不安視する声だ。市立川西病院がある北部地域では、総合病院の存続を求める運動が起きた。北部診療所には24時間対応の内科を置くが、入院や二次救急に対応する機能はなくなる。

 「安定した経営基盤を築くための計画。市民全体の利便性と医師らを確保しやすい立地を考えた」と市の担当者。だが、住民団体は計画撤回を求める署名を集め、今月までに計約1万7700人分を市に提出した。

 もう一つは膨らむ事業費への懸念だ。総額は昨年5月に公表された当初計画で176億円。それが今年7月の基本構想案で、98億円多い274億円になった。

 本院は一般病棟の377床が全室個室。7割の部屋で差額ベッド代を無料にする。市によると、患者や家族にとって快適で利用しやすい環境となるよう、協和会側が提案し、約10億円の費用を上積みした。このほか資材単価や建設コストの上昇などを見込んだという。

 借入金に対し、今後30年間に払う利子分を含めると、総事業費は355億5千万円にのぼる。

 協和会が50%(177億7千万円)を負担し、国からの財政支援として36%(128億7千万円)を地方交付税で見込む。市の負担は全体の14%(49億1千万円)になるという。

 

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(太田康夫)