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 富士フイルムホールディングス(HD)による米事務機器大手ゼロックスの買収計画をめぐり、米ニューヨーク州の上級裁判所は16日、買収手続きの一時差し止めを命じた下級審の決定を破棄した。買収阻止などを求めていた米ゼロックスの大株主の訴えを全面的に退け、富士フイルム側が逆転勝訴した。

 上級裁判所は、米ゼロックスが富士フイルムによる買収受け入れを決めた経緯に重大な問題はなかったと認定した。これにより、富士フイルムと米ゼロックスは経営統合に向けた協議を再開することが法的には可能になる。

 ただ、米ゼロックスは、富士フイルムとの経営統合を決めた当時のジェフ・ジェイコブソン最高経営責任者(CEO)らがすでに退任。買収に反対する大株主側が新たな経営陣を送り込んでいる。実際に買収に向けた協議が始まるのかどうかは不透明だ。

 富士フイルムは17日、「主張の正当性が全面的に認められた」と判決を評価するコメントを出した。そのうえで「米ゼロックスと契約の履行に向け話をしていく」として、計画通りに買収を受け入れることを求めて再び話し合う考えを示した。下級審が4月に買収手続きの一時差し止めを命じたのを受け、こうした話し合いは見合わせてきたという。

 ただ、富士フイルムは、追加の現金支出なしで買収する計画を堅持し、買収額の積み増しなどには応じない考えだ。米ゼロックスは、両社が共同出資する富士ゼロックスでの協業の見直しを打ち出すなどして揺さぶりをかけているが、富士フイルムは主力製品の複合機の開発や生産を担っており、代わりの担い手の確保が難しいとして、「ダメージが大きいのは米ゼロックスのほうだ」(助野健児社長)と主張している。強硬姿勢を崩さない富士フイルムに対し、上級審で敗訴した米ゼロックスの大株主側が買収交渉に応じるかが今後の焦点になりそうだ。(江渕崇=オタワ、北川慧一)