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 アレルギーだと周囲に告げるのをためらう、つい口にした食べ物で症状に苦しむ――。食事会や飲み会など、食物アレルギーを持つ子どもが成長に伴い、困る場面に直面することがある。そこで、アレルギーを持つ人同士がこうした悩みを分かち合ったり、支援したりする動きが出ている。

 奈良市の大学2年生、鷲(わし)裕一さん(20)はサークルの新入生歓迎会でひやっとした経験がある。100人以上が参加したバーベキューでのことだ。

 卵と牛乳のアレルギーがあるが、入学して1週間足らずで、誰にもアレルギーだと告げていなかった。食べられるものだけ食べようと参加したが、同じ席で焼いていた何かの食べ物に反応し、少しじんましんが出た。「誰かに言うと大ごとになるだろう」と思うと症状のことは言い出せず、我慢した。その後も大勢での食事の機会が増え、食材が気になった。

 食物アレルギーは、原因となる食べ物を取ると、じんましんや呼吸困難などの症状が出る。重い場合は意識を失ったり、血圧が低下したりするなどの「アナフィラキシーショック」を起こすこともある。

 鷲さんは今は、友だちにはなるべくアレルギーのことを伝えるようにしている。食事に行くと、食べられないものを言うのではなく、「何なら食べられる」と具体的に提案する。「その方がお互いにポジティブになれる」

若者同士で悩みを共有

 こうした食物アレルギーの若者の悩みを共有し、支えようと、10月13日、NPO法人・千葉アレルギーネットワークが千葉県船橋市で開いた催しには、鷲さんも含めアレルギーがある中高、大学生ら12人が集まった。

 「大勢の食事会で具合が悪くなっても、アレルギーのことを言い出せない」という悩みに、社会人2年目の谷口春佳さん(23)は「人に言うのは勇気がいるよね」と応じ、「一人になった時に意識を失ったらとても怖い。事前に幹事の人に一言、伝えてみて」と助言した。

 電話相談などでアトピーやアレルギーの患者の悩みに向き合うNPO法人・アトピッ子地球の子ネットワーク(東京都新宿区)も、昨年から10~20代向けに、悩みを共有するプログラムを始めた。アレルギーがある若者が深刻な悩みを抱えていることを知り、支援の必要を感じたという。

 毎年行うキャンプに、10代~20代の患者向けのプログラムを取り入れた。今年の夏も「アレルギーと私」をテーマに話し合った。今後、加工食品の食品表示などについて学ぶ機会も設けるという。

アレルギーない人も理解を

 国内で食物アレルギーがある人は成人では1~2%と考えられており、増加傾向とされる。治療方法はここ10年ほどで大きく変わった。以前は原因の食べ物を徹底して避けるのが主流だったが、いまは実際に食べてみる検査で症状が出るか見極め、必要最小限の除去にとどめるのが基本だ。医師の指示のもとで計画的に少しずつ食べることで、克服をめざす治療もある。

 10代~20代の患者は、治療方法の転換期に子ども時代を過ごしている。同ネットの赤城智美事務局長は、地域によっては専門の病院が少なく、新しい医療に出合えずに大人になった人もいると指摘。「友人と遊ぶときに食事を挟まないようにしたり、学校以外で会わないようにしたりと、孤立を深めることがある。サポートが必要だ」と話す。

 そのうえで赤城さんは周囲の理解も大切だとし、「アレルギーがある人と一緒に食事する場面に出会ったら、どうすればその人と一緒に楽しく過ごせるか、知恵を出し合い考えてほしい」と語る。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(松本千聖)