戦争責任の研究や慰安婦問題などに取り組んだ国際法学者で東京大名誉教授の大沼保昭(おおぬま・やすあき)さんが16日、腎盂(じんう)がんのため死去した。72歳だった。通夜、告別式は親族で営んだ。喪主は妻清美さん。後日、偲(しの)ぶ会が行われる予定。長女は自民党の大沼瑞穂・参院議員。

 山形市生まれ。東大法学部在学中、全共闘運動やベトナム反戦運動に影響を受け、在日韓国・朝鮮人の指紋押捺(おうなつ)撤廃やサハリン残留朝鮮人の帰還などの運動に参加した。95年に設立された「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)の理事として、元日本軍慰安婦への「償い事業」に取り組んだ。

 東大大学院教授を09年に退職し、16年まで明治大特任教授。国際法を専攻し「国際条約集」の編集代表も務めた。経済摩擦についての論文で87年に石橋湛山賞。戦争責任などの研究で17年に内海愛子、田中宏の両氏とともに日本平和学会平和賞を受賞した。

 安倍晋三首相が15年に戦後70年の談話を出した際には、国際政治学者ら70人余の発起人代表として声明をまとめ、「日本の戦争は違法な侵略戦争だったと明確にすべきだ」と訴えた。