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 障害者雇用数の水増し問題で、第三者委員会の報告書では、健常者の職員を恣意(しい)的な解釈で「障害者」と見なす悪質な手口が複数の中央省庁で長年横行していた実態が明らかになった。

 厚生労働省によると、各省庁は第三者委の調査に対して、不正な算入は「意図的ではない」と説明したというが、報告書は「恣意的な当てはめ、在職の確認という基本の確認不足、法令の勝手な解釈。長年引き継がれてきたとのいいわけは許されず、誠にずさんな事務処理だ」と指摘。「法定雇用率を満たすため、既存の職員から新たに選んだ人を障害者として計上してきたことがうかがえる」と認定した。

 昨年6月1日時点で、不適切に障害者雇用率に算入されていた職員の実数は、国の33機関のうち28機関で計3700人だった。このうち約2600人が障害者手帳を持たず、病気や障害もなかった。

 最多の1103人を不正に算入していた国税庁は、「うつ状態」「不安障害」と自己申告するなどした人を、精神障害者保健福祉手帳を持っていないと知りながら、臓器など内部機能に障害がある「身体障害者」と認定し、雇用率に算入していた。昨年度に内部機能障害として不正算入した187人のうち約4割の80人が、こうした「精神疾患」の職員だった。

 メガネなどをかけた状態の「矯正視力」が「0・1以下」であれば算入できるが、「裸眼で0・1以下」と解釈して健常者を不正に算入したケースもある。水増し計75人中74人が「視覚障害」だった総務省や、環境省や特許庁、農林水産省などでこうした手口が使われていた。

 国土交通省は、すでに退職している74人を障害者として算入していた。中には約10年前に退職していた人も含まれていた。長年引き継がれた障害者職員の名簿の人について、在職しているか確認していなかった。

 根本匠厚生労働相は22日の関係府省連絡会議で「政府として真摯(しんし)に受け止め、今回の事態について深く反省したい」と陳謝した。その上で、今後、各省庁が法定雇用率の達成に向けて積極的な障害者の採用に動くことを踏まえ、「障害のある方が意欲と能力を発揮し、活躍できる場の拡大に取り組んでいくことが重要だ」と語った。(村上晃一)