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 中央省庁の障害者雇用数水増し問題で、原因を検証してきた第三者委員会(委員長=松井巌・元福岡高検検事長)は22日、多くの行政機関で健常者の職員を恣意(しい)的な解釈で「障害者」と見なしてきたとする報告書を公表した。また、政府は全国の自治体で計3809・5人の不適切な障害者雇用数の算入があったとの再調査結果を発表。障害者雇用を牽引(けんいん)すべき行政機関で水増しが横行していた実態が改めて鮮明になった。

 ともに、この日あった関係府省連絡会議に示された。障害者雇用率の算出方法に基づくと、中央省庁では昨年6月1日時点で3445・5人の水増しがあったが、第三者委の報告書によると、実数ベースでは28機関で計3700人が不適切に算入されていた。

 具体的な事例では、退職者など在籍していない職員が7機関で計91人算入されていた。このうち国土交通省では退職者74人、出向者7人を不適切に算入していた。死亡した人や約10年前に退職していた人も含まれていた。長年引き継がれた障害者職員の名簿の人について、在職の有無を確認していなかったという。

 最多の1103人を不適切に算入した国税庁は、「うつ状態」「不安障害」と自己申告するなどした人を、臓器など内部機能に障害がある「身体障害者」と認定していた。メガネなどをかけた状態の「矯正視力」が「0・1以下」であれば算入できるが、「裸眼で0・1以下」と解釈して健常者を算入していたケースもあった。

 国や地方自治体、企業などには職員や従業員のうち一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇うことが法律で義務づけられている。雇用率に算入できるのは原則、身体障害者手帳、知的障害者の療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人だ。水増しの多くは、手帳の有無を確認していなかったことが原因だったとしている。

 一方、全国の自治体の再調査は、昨年6月1日時点の雇用数について、障害者を1人以上採用する義務がある教育委員会や警察本部、企業局を含め計約2600機関を対象に実施した。4万9689・0人とされていた障害者雇用数は4万5879・5人に減り、全体の平均雇用率は従来調査の2・40%から2・16%に低下した。

 教育委員会が2359・0人と水増しの6割を占め、平均雇用率は2・22%から1・85%に下がり、当時の法定雇用率2・2%を割り込んだ。都道府県の平均雇用率は2・65%から2・36%に低下。市区町村は2・44%から2・29%になり、当時の法定雇用率2・3%を下回った。47都道府県でみると、42都道府県で知事部局や教委、警察本部、企業局の少なくとも一つで水増しがあった。(村上晃一、千葉卓朗)

報告書が指摘した主な「水増し」の手法

・診断書や人事調書に「うつ状態」「適応障害の一歩手前」「不安障害」と記載があることを根拠に算入(国税庁)

・障害者職員の引き継ぎ名簿に名前があるとして、退職者を算入(国土交通省)

・障害者数に計上しながら、法定雇用率の分母となる職員数に算入せず(法務省)

・眼鏡の使用やしぐさなどから視力が悪そうな者に裸眼視力を聴いて算入(農林水産省)

・うつ状態で病気休暇に入ったと診断書で確認できた人を算入(財務省)

・採用時の健康診断で裸眼視力0.1以下の人を算入(総務省)

・身上申告書の健康状態の記載欄をみて、ぜんそくなら呼吸器の障害と判断(消費者庁)