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 北朝鮮の非核化をめぐり、今月中旬にオーストリア・ウィーンで開かれる予定だった米国のビーガン北朝鮮政策特別代表と北朝鮮の崔善姫(チェソンヒ)外務次官の実務者協議は開催されないことが確定的になった。米国による協議開催の提案に北朝鮮が応じなかった。

 ウィーンでの実務者協議の開催は、ポンペオ米国務長官が今月7日に米朝首脳会談の開催に向けた調整のために平壌を訪問した際、確認したとされる。ビーガン氏は16日のモスクワ訪問を皮切りに欧州各地を歴訪。だが、崔氏が北朝鮮を出発する動きはなく、ビーガン氏は21日までにワシントンに戻った。

 米朝は2回目の首脳会談開催で一致している。だが、米国が北朝鮮に核関連施設のリストや非核化の行程表を提出するよう求める一方、北朝鮮は米国の「相応の措置」がなければ非核化を進められないとしている。今回協議が実現しなかったことで、両者の意見の隔たりが改めて浮き彫りになった。

 外交関係者の間では、協議場所としてウィーン中心部の歴史地区にある高級ホテル「パレ コーブルク」の名前が挙がっていた。かつてイラン核合意をめぐり、米代表団とイランが長丁場の協議を続けた場所で、警備や機密保持の面で利点がある。

 北朝鮮にとってウィーンは歴史的に旧東側諸国に近く、欧州でも訪問しやすい場所。北朝鮮の金光燮ウィーン大使は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の義理の叔父で、在任約25年だ。ただ、ウィーンには北朝鮮が2009年に査察要員を追放した国際原子力機関(IAEA)があり、「現段階では望まない場所」(外交筋)との見方もあった。(ウィーン=武田肇)

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 北朝鮮のウェブサイト「わが民族同士」は22日、韓国の独自制裁の解除を巡ってトランプ米大統領が「米国の承認なしにはやらないだろう」と述べたとして、「北と南の努力に対する露骨な干渉だ」と非難した。トランプ氏を名指しはせず、「米国大統領」とだけ説明した。

 朝鮮中央通信も20日、米政府内でポンペオ国務長官の平壌訪問を高く評価する一方、制裁の維持を改めて主張しているとし、「米国の表情と態度は疑問を生んでいる」と批判する論評を発表した。「米国人には二面的な態度が大したことではないかもしれないが、信義と約束を重んじる朝鮮人には耐え難い侮辱になる」と訴えた。

 背景には、米国から具体的な譲歩を得るため圧力をかけたい思惑がありそうだ。朝鮮中央通信は20日の論評で「米国に善意と雅量までは望まないが、受けた分だけ与える初歩的な原則に即して行動することを求める」と主張した。(ソウル=牧野愛博)