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 分娩(ぶんべん)中にバランスボールを突然使うよう指示されて転倒し、子宮が破裂して生まれた男児もその後死亡したなどとして、山梨県の30代の夫婦が大阪市東淀川区の産婦人科クリニックと担当医を相手取り、約9千万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。24日に第1回口頭弁論があり、クリニック側は争う姿勢を示した。

 バランスボールは、トレーニングに用いる軟らかい大きなボール。産科医療関係者によると、一部の産科や助産院では、陣痛緩和のため用いるという。

 訴状によると、妻は大阪府内に住んでいた2013年6月、破水して入院した。ベッドに置かれたバランスボールに上半身を覆いかぶせるように乗せたが、片方の腕に点滴がつながれていたうえ陣痛もあり、バランスを崩して転倒。担当医が急きょ帝王切開すると子宮が破裂していた。男児は仮死状態で生まれて脳性まひが残り、1歳7カ月で死亡した。

 夫婦は子宮破裂は転倒が原因とし、「触ったこともないバランスボールを使うよう突然指示され、介助の看護師もいなかった」と主張。手術でガーゼを体内に置き忘れ、翌日に除去するため再手術を受けるなどの医療ミスや子宮破裂のショック、男児の介護疲れで夫婦が精神疾患にかかるなど精神的苦痛を受けたと訴え、逸失利益や慰謝料を求めている。

 医療事故の分析にあたる第三者機関「日本医療機能評価機構」の報告書は今回の件について、「子宮破裂の原因は転倒による衝撃の可能性もあるが、断定は困難」とした上で、「バランスボールを使う場合、使用方法を十分に説明し、安全に十分に配慮することが望まれる」と指摘している。

 夫は取材に、「なぜ子どもが亡くなったのか、本当のことを知りたい」。被告側の代理人弁護士は「現時点ではコメントは差し控えたい」としている。(畑宗太郎)