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 サウジアラビア人記者の殺人事件をめぐり、トルコのエルドアン大統領は23日に行った捜査結果の発表で、関与を指摘されてきたサウジ皇太子に言及しなかった。管理を強化したメディアを使ってサウジを追い込みながら、最後は助けて恩を売った。サウジびいきのトランプ米大統領もトルコに救われた形だ。

 「残虐な方法で殺害された。この殺人は人間の良心を傷つけるものだ」。エルドアン氏は23日、サウジ人記者ジャマル・カショギ氏の死について、そう力を込めたが、集まった聴衆に驚いた様子はなかった。カショギ氏が拷問を受け、遺体は切断されたとみられることが、すでにメディアで報じられていたためだ。

 捜査情報を握るトルコの巧みなメディア戦略がサウジを追い込んだ。事件の当初、サウジが関与を否定すると、6日にはロイター通信などが、トルコ当局の見方として「カショギ氏が総領事館内で殺害された」と報道。10日には、カショギ氏が失踪した10月2日の前後に空路でイスタンブール入りした政府関係者を含むサウジ人15人全員の名前と顔写真が地元紙に掲載された。

 16日からは、カショギ氏が殺害される様子を記録したとされる音声データの内容が一斉にメディアで流れた。皇太子の周辺者が容疑者の中に含まれるとの報道も加わった。

 2016年7月のクーデター未遂直後から、トルコでは166社のメディア企業が閉鎖され、約300人の記者が逮捕・拘束された。今回の事件では、政府に批判的な報道を封じたトルコが、制御可能な自国メディアを通じ、次々に「新証拠」を突きつけた。トルコの狙いは中東の覇権を争うサウジを牽制(けんせい)することだったとみられている。

 トルコは、サウジが17年6月、敵対するイランに接近したとして湾岸諸国のカタールと断交すると、即座にカタールとの軍事・経済関係を強化。また、米国やサウジがもくろむ「反イラン包囲網」とも一線を画してきた。

 クーデター未遂以降に悪化した米国との関係は最近、改善の兆しが出ている。経済苦境が続くなか、投資を期待できるサウジとの表立った関係悪化も避けたい。トルコはリーク戦術で、両国との関係維持と真相解明の主導権を握り続けた。エルドアン氏は23日の演説で、ムハンマド皇太子の名前には触れぬまま。むしろ「サウジ政府は犯罪があったことを認めた。重要な一歩だ」と述べた。(イスタンブール=其山史晃、リヤド=高野裕介)

■サウジ「致命傷」…

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