皇居外苑(東京都千代田区)が12月にライトアップされる。2020年東京五輪・パラリンピックに向け、皇居周辺の観光への活用を求める政治の声を受け、環境省が工事を進めていた。堀の石垣や橋を投光器で浮かび上がらせたり、園路沿いの柵にLED照明をつけたりする。

 ライトアップされるのは外苑や日比谷堀などの35ヘクタール。設備は11月末に完成し、12月に試験点灯する。皇居周辺の豊かな生態系に配慮し、ヘイケボタルの生息域は暗さを保つといった対応もとる。

 環境省の検討会が16年に「灯籠(とうろう)のわずかな光など、日本の伝統的な夜間の美意識を参考にする」との基本計画を決め、日本の照明デザイナーの草分けとして知られる石井幹子(もとこ)さんに全体像づくりを委託していた。

 外苑は年400万人を集める観光名所だが、夜訪れる人は少なかった。「皇居の前庭という特殊性にふさわしい美観と静穏を保ち、広く国民の散策、観光に供する」(1952年の閣議了解)とされ、街灯がほとんどなかったためだ。

 2010年ごろ以降、自民党などから「東京駅はイルミネーションできれいで、反対(の皇居側)を見たら真っ暗だ」(麻生太郎現財務相)との声が出ていた。12年には宮内庁が管理する二重橋などで年末年始のライトアップを始めた。昨年末には環境省が初めて桜田門を試験点灯。今回の工事で全体が完成する。

 今後の課題は、観光と静けさとのバランスだ。来年4月30日の天皇陛下退位、翌5月1日の新天皇即位を控え、観光客の増加が予想されるなか、環境省は「皇居に対する国民の意識への配慮も重要だ」と主張する。点灯の時期や時間については宮内庁など関係者と相談するという。(別宮潤一)