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 「自分のおっぱいと再会できた」――。乳がん手術で乳房を再建した後も、安心しておしゃれなブラジャーをつけたいという患者の声を受け、下着の相談に乗る岡山大学病院の取り組みが注目されている。「病に左右されず、私らしく生きたい」と願う女性たちを支える。

 「腫れが落ち着くと左右同じになるから、メスを入れてない右胸に合わせる方がいいですよ」「腕を上げた時に、胸に違和感はない?」

 10月中旬、岡山大学病院(岡山市)にある乳がん治療・再建センターの一室。同病院の「ブレストカウンセラー」の岡いずみさん(57)が、同市の自営業乾朋子さん(49)にこう話しかけながら、1センチ刻みでブラジャーの採寸をしていた。そばには、レース、リボン、シックな無地など数々のオーダーブラジャーの見本が並ぶ。

 一般のオーダーブラジャーと変わらないが、医療機関と連携し、手術後の乳房の状態に合わせてきめ細かく変えられるのが特徴。値段はデザインにもよるが8千円前後だ。シリコーン製の人工乳房なら押さえつけすぎず、おなかなどの自家組織を移植した場合は、逆に固定して寄せていく。

 乾さんは昨年11月に乳がんと診断され、抗がん剤治療中に院内でブラジャーの相談ができることを知った。6月に左乳房を全摘し、再建手術でおなかの組織を移植。再建した左胸は右より少し大きいが、今回、ぴったりのサイズがわかった。乾さんは笑顔で「こんなに心がウキウキしたのは1年ぶり。やっと自分のおっぱいと再会できました」。

 告知でショックを受け、「女性でなくなったように感じて落ち込んだ」。術後の傷や痛みから「もう普通のワイヤ入りは無理」とも思い込み、地味なものしか着けられないと諦めかけた。そんな時、医師から岡さんを紹介され、治療や社会復帰の時期に合わせたブラジャーを提案してもらった。

 実は、カウンセラーの岡さん自身も乳がん経験者だ。

 昨年春に見つかり、手術を経てホルモン治療を続ける。「患者になって初めて、病院で安心して相談できる人の重要性を痛感した」と話す。2009年に岡山大病院のカウンセラーになった。14年に独立。岡さんの存在は口コミで広がり、同大病院を拠点にしつつ、今では月に数回、大阪や東京の5病院で年間のべ約200人の相談に乗る。

再建後「合う下着がなくて困った」38%

 乳房再建後の女性の悩みは深い。NPO法人「エンパワリングブレストキャンサー」(東京都)が、毎年実施している調査で「乳房を失った後のこころと身体の変化」について患者328人に複数回答で聞いたところ、「温泉やジムに行けなくなった」(46%)に次いで、「合う下着がなく困った」(38%)が挙がった。「好きなおしゃれができない」も19%あった。(17年)

 真水(ますい)美佳理事長(59)は10年前に再建手術をした。その後、デパートの下着売り場で助言を求めるために販売員に手術後だと告げて試着すると、対応に戸惑ったのか一人にされた。自身の経験や患者の声を受け、「乳房再建手術ハンドブック」(http://www.e-bec.com/handbook別ウインドウで開きます)を作って、下着の選び方についても紹介した。

 医療現場では、岡山大病院のように術前から相談に乗るところはごく一部だ。真水さんは「女性にとって下着はメイクと同じ。自分らしく身につけて幸せな気持ちになれるものを選べることが大切だ。その後の人生を長く生きていくのに必要なケアでもある。こうしたとり組みが、もっと広がって欲しい」と話す。

■医師の戸惑いがきっ…

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