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番外編

 連載「ワザ語り」で今回、高精度な溶接を手がける「ノースヒルズ溶接工業」(大阪府東大阪市菱江2丁目)を取材した。そこには「神業」と呼ぶにふさわしい高度な技術と、日本のものづくりを支えるプライド、ロマンがあふれていた。

文系社長の化学反応

 社名の由来は、2012年に起業した社長、北坂規朗(のりあき)さん(35)の名字を英語にしたものだ。

 初日の取材で、まず北坂さんに会社の概要や設立の経緯、溶接技術についておおまかにうかがった。素人の記者にもわかりやすく、丁寧に、技術的なことも身近な例を挙げながら説明してくれた。

 その「説明力」の高さに驚かされた。記者の目をまっすぐに見て、説明に一切のよどみがない。同社が得意とする「TIG(ティグ)溶接」の仕組みの説明の際には、わざわざ自らの手帳を取り出して白紙のページに図を描きながら教えてくれた。

 さらに、こちらが金属の特性や融点などの科学的な質問や、これまでにどのような溶接依頼があり、何年の何月に完成させたのかなどの質問をしても、資料を見ずにすらすらと答えてくれた。

 大学では法学部。溶接会社の社長ではあるが、溶接は一切しない。専門書や論文を読み込んで得た豊富な知識はあっても、その知識を自分の言葉で語ることはなかなか難しいものだ。いつもニコニコ、本当に楽しそうに語る。関西人らしく、話にオチもある。初日の2時間の取材はあっという間に終わった印象だ。どんな世界でも、こうした知識を自分色で語れる説明力、コミュニケーション力は大きな武器になると思った。

 北坂さんがデスクワークや打ち合わせに使うのは、工場の2階にある、白い壁を基調とした明るい事務所だ。「都会のオフィスに負けない、従業員が気持ちよく働ける場所にしたかった」。これまでの町工場のイメージを覆すような気持ちの良い空間だった。北坂さんは「製造業は閉鎖空間で暗いというイメージがある。一般の人にも親しみを持ってもらうために、工場をガラス張りにして、外から溶接の様子が見えるようにもしたい」。文系社長が町工場にもたらした化学反応といえる。

起業を決めた出会い

 会社勤めを長くしている身からすれば、会社を起こして一国一城の主になろうとする人のバイタリティーはまぶしくて、格好良い。

 28歳でノースヒルズを立ち上げた北坂さん。実は高校時代にも友人と真剣に起業を考えていた。そのころ、北坂さんが心に決めていた「起業の条件」がある。「資金」「人材」「技術・アイデア」の三つ。当時、高校生にして親の跡を継ぎ社長を務めていた友人もいた。「資金」「人材」はなんとかなっても、納得のいく新事業の「アイデア」が浮かばなかった。結局、成功の未来を描けぬまま、高校を卒業した。

 大学時代も起業を模索したが、…

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