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 顔にアザやまひ、傷の痕などがある人を支援してきた男性が11年ぶりに、愛知県豊橋市を拠点に活動を再開させた。顔の右側に大きな赤アザ(単純性血管腫)がある石井政之さん(53)だ。かつてNPO法人「ユニークフェイス」をつくり、容姿差別を世の中に問うた先駆者だ。

 「就職活動が不安。顔について聞かれたらと思うと……」。10月下旬、豊橋市。顔にまひがある愛知県内の大学3年生の女性(20)からの相談に石井さんは耳を傾けた。「しどろもどろになっちゃいけない。想定問答をつくり、はきはきと答えよう。印象は違うよ」とアドバイスした。

 石井さんが、この問題に取り組むようになったのは、容姿で差別を受けた自らの半生を記した著書「顔面漂流記」を1999年に出版したのがきっかけだ。同じような体験の持ち主らから、段ボール2箱分の手紙が届いた。いじめを受けて自殺した子の親からも。「顔の差別で人は死ぬ。本気で取り組もうと思った」

 同年、東京でユニークフェイスを設立(後にNPO法人化)。交流会を開き、講演やメディアを通し体験を語った。「たいした問題ではない。大事なのは心」と言う人には「自分の顔にペンキを塗って街を歩けますか」と返した。会員は全国に300人まで増えた。

 だが、運営資金はギリギリ。身も心もすり減ってしまった。2007年、結婚を機に静岡県の会社に就職した。石井さんが身を引くと活動は停滞した。その間、ユニークフェイスの元事務局長がつくったNPO法人「マイフェイス・マイスタイル」(東京)が当事者を支援してきた。

 石井さんは11年に豊橋に移り住んだ。だが、苦しむ人に最後まで手を差し伸べられなかったという後悔があった。16年に「ユニークフェイス研究所」を発足させ、再開に向け準備。今年9月から活動し始めた。

 今はサービス業で働くかたわら、月に1度、交流会を開いている。地元の大学で講演もした。「相談先もなく、ひとりで悩む当事者に寄り添いたい」。ひとりで活動しているが、いずれは仲間を集い、ユニークフェイスの訴えを広げたい、と考えている。

 交流会の日程は、ユニークフェイス研究所のウェブサイト(https://uniqueface.amebaownd.com/別ウインドウで開きます)で確認できる。(岩井建樹)