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医の手帳・災害医療(4)

 最終回は「心のケア」についてです。災害により、大切な家族との離別、将来への不安、地域コミュニティーの破壊による孤独など様々な要因によって、心に傷を負う方がいらっしゃいます。

 震災後のPTSD(心的外傷後ストレス障害)では強烈なショック体験、精神的ストレス体験を契機に、めまいや頭痛、食欲低下や、眠れない、様々なきっかけでつらい体験を思い出すなど、多彩な症状がでます。震災後に何年も経ってから発症することもある心の傷です。このような症状が続く時には、専門医の診察を受けることが大切です。

 一方で、同じ震災を経験しても心の傷を抱え込まない方も大勢います。その方々の中には、災害支援者の小さな働きかけによって、心の傷が深くならずに済んだ方もいると言われています。この働きかけは、心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイド:PFA)と呼ばれ、心の傷を広げないための支援者の技術として注目されています。

 誰でも傷にばんそうこうを貼ることができるのと同じように、精神科や心理の専門家でなくても、小さな心の傷に対処できることがあります。例えば、家族と連絡が取れないことで不安を抱えている方に、連絡を取るために電話を用意したり、安否確認の方法を教えてあげたりする。こうした被災者のニーズに対応してあげることで、心のストレスを軽減する作用があると期待されています。

 不安や不満のある方の様子をよく「見て」、しっかりお話を「聞いて」、その方の必要としている支援に「つなげる」ことが、被災者の心の傷にとっての応急処置になります。もちろん、PFAはあくまで応急処置です。災害を契機に心のバランスを崩すのは、誰にでも起きうることです。つらい症状が続く方は、早めに専門家に相談することが大切です。

=おわり

<アピタル:医の手帳>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/