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 27日に始まるプロ野球の日本シリーズで第1戦の予告先発が発表された。ドラフト1位の「エリート」と育成入団の「雑草」が、球界最高峰決戦の初戦でマッチアップすることになった。

 日本シリーズ(S)の大舞台で、対照的な野球人生を歩んできた2人の投手がチームの柱となって戦う。

カープの勝ち頭に成長

 広島の大瀬良大地(27)は、常に世代のトップ集団にいた。2009年、長崎日大高のエースとして選手権大会で甲子園出場。九州共立大でも順調に成長し、13年秋のドラフト1位で広島に入団した。即戦力の期待通り、1年目から10勝を挙げて新人王を獲得した。

 自身2度目の日本S。日本ハムと対戦した16年は救援で1敗した。「シーズンと別物。緊張で感覚も何もなかった」と振り返る。それから2年。今度はカープの勝ち頭として挑む。

 今年の躍進を予言した人物がいる。長崎日大高の恩師・金城前監督。昨オフに母校で1人黙々と球を投げる姿を見て驚いた。軸足に体重を残し、球威が増していた。1月の激励会で「今年は15勝すると思います」と言い放った。

 シーズンが終わってみれば、セ・リーグ最多勝と勝率第1位。右腕は「卒業後も一度もほめられたことがないので、あの時はびっくりした。クリアできたので顔を合わせられます」。

 故郷九州を本拠にするソフトバンクには、今年の交流戦で4回7失点と打ち込まれた。「勝たないと目指すところにはたどりつけない」。クライマックスシリーズ(CS)最終ステージでは第1戦を任され、勝ちを呼び込んだ。頼もしい右腕は今から闘志を燃やす。

年俸270万→1億円超え

 華やかな道を歩んできたのが大瀬良なら、ソフトバンクの千賀滉大(25)はたたきあげだ。愛知・蒲郡高時代の最高成績は愛知大会3回戦敗退。10年に育成ドラフト4位で入団した。当初の年俸は270万円(推定)。新人合同自主トレーニングでは、同期の柳田悠岐らとの身体能力の違いに自信をなくしたという。

 反骨心を胸に食らいついた。落差あるフォークを武器に中継ぎで頭角を現すと、先発に本格転向した16年から3年連続2桁勝利。年俸も1億円を超えた。

 今季も粘った。育成ドラフト出身初の開幕投手を任されたが、右腕の張りなどで4度も抹消。その中でもチーム最多タイの13勝を挙げた。「野手の方が打ってくれた」と感謝し、フル稼働できなかったシーズンの借りを返そうと、短期決戦にかけている。今CSでは2度の先発で好投した。

 昨年、DeNAとの日本Sは開幕戦で先発。7回1失点で白星を手にした。「来年また日本一になれるように頑張りたい」。そう誓っていた右腕が、大一番のマウンドに戻ってくる。(藤田絢子、甲斐弘史)