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 都道府県のうち少なくとも28都県や財務省など複数の中央省庁で、障害者の職員を募集する際に「自力で通勤できる」などとの条件を課していたことが26日明らかになった。厚生労働省は、障害者の採用差別を禁じた法律の趣旨に反するとみている。行政機関では障害者雇用数の水増しが発覚したばかり。障害者雇用への意識の低さが改めて問われる事態となっている。

 財務省は今月15日に同省のホームページに掲載した障害者向けの求人で、応募資格を「自力により通勤ができ、かつ、介護者なしで業務の遂行が可能であること」としていた。22日に障害者団体から、介助があれば通勤や仕事が可能な人を排除する「障害者差別」だとの抗議を受け、24日に文言を削除した。

 同省によると、障害者の求人で、同じ文言を2012年ごろから使っていたと見られる。財務省の外局の国税庁や関東信越国税局、東京税関でも同じ文言を使った求人が出されていた。麻生太郎財務相は26日の閣議後会見で「障害者雇用に関する意識が低い、対応がずさんだ、と言わざるを得ない」と認めた。

 防衛省は昨年と今年1~2月の求人にこれと同じ条件をつけた。条件を満たす障害者を、防衛省本省と陸上自衛隊中央業務支援隊に1人ずつ採用。担当者は「障害者を受け入れる環境が整っておらず、条件をつけたが、適切ではなかった。今後は改める」としている。内閣府の外局である個人情報保護委員会事務局も18年だけで計3回の求人で、同様の条件を課していた。同局の担当者は「他の省庁の求人を参考にして、そのまま引用していた」と話した。13年には、農林水産省でも同様な求人があったという。

 障害者の募集・採用については、16年4月施行の改正障害者雇用促進法で差別が禁じられた。車いすの使用などを理由に除外することなどが禁止事項として想定されている。法律は企業が対象だが、行政機関もこの趣旨にそった運用が求められるとされており、根本匠厚労相は26日の閣議後会見で、財務省などの条件について「趣旨に反する」と述べた。人事院とともに各府省に、趣旨に沿った対応の徹底を指示したという。

 また、朝日新聞社が自治体の担当者に取材したところ、少なくとも28都県でこうした応募条件を設けていた。財務省などと同様に「自力で通勤でき、介護者なしに職務の遂行が可能」とする自治体がほとんどだった。一方、16年4月の改正障害者雇用促進法の施行を受け、神奈川や兵庫、山口などが募集要項からこうした条件を削除した。障害者に対し、採用や賃金で不当に差をつけることを禁じた同法の趣旨を踏まえた対応で、兵庫県の担当者は「改正前から障害者団体から改善を求める声があり、課題と認識していた」と説明した。