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 倒れたモスク(イスラム礼拝所)の塔のそばで26日、州職員のムフリスさん(40)は黙々とがれきを取り除いていた。「白がリビングで、赤がバルコニー」。タイルの破片を手につぶやいた。鼻先から汗がしたたり落ちる。

 インドネシア・スラウェシ島中部パルの中でも、甚大な被害を出したバラロア地区。ここにあった実家は9月28日、地震で隆起した地面に近隣の家々とともにのみ込まれた。ムフリスさんは、行方不明の父(65)と妹(27)を捜している。

9月28日、スラウェシ島でマグニチュード7・5の地震があった。6万8千棟を超える家屋が損壊し、10月25日時点で死者2081人、負傷者は1万2568人。政府によると行方不明者は1309人だが、5千人に上るとの情報もある。

 現地を調査した日本の国際協力機構(JICA)によると、この地区は大規模な液状化が起きた。土地が最大375メートルにわたって動いたり、そのしわ寄せで隆起したりしたという。

 ムフリスさんは毎朝、スコップやくわを入れた約30キロのリュックを背負い、10キロ離れた自宅からバイクで来る。日暮れまで掘り返す。それが震災後の日課だ。地震翌日に4人を救った。翌30日には母(65)の遺体を見つけた。

 多くの行方不明者がいる中、政府は今月11日、捜索を打ち切った。遺体が腐敗し、感染症の恐れがあるためとの説明だ。ムフリスさんは「政府は何を急ぐのか。全く人道的でない」と憤る。毎日の捜索で体重は5キロ落ちた。それでも、やめない。「私が両親のためにできる最後の務めだ」

 州職員のラムリィさん(57)は妻ら5人の家族の消息が不明だ。地震発生から5日ほどは奇跡を信じて、その後は、亡きがらだけでもと、がれきや地面を掘り返した。11日まで続けたが、見つからなかった。

 妻とは結婚30年、一度もけんかをしなかった。「遺体が見つからないから葬式も出せない。墓もつくれない」。ラムリィさんはそう言って目頭を押さえた。

避難なお21万人、続く余震

 パルではがれきの7割を撤去。…

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