「死ぬのは怖いが」命がけの旅路 豊かさ求める若者たち

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アガデス〈ニジェール中部〉=石原孝 シュツットガルト〈ドイツ南部〉=高野弦 ローマ=河原田慎一
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 仕事や豊かさを夢見て、アフリカ諸国から欧州を目指す若者があとを絶たない。だが、大量の難民・移民が押し寄せた欧州では排斥世論に伴う右傾化が進み、受け入れ空間も縮小。事態の根本的な改善は、アフリカでの雇用創出や格差解消にかかっている。

 「欧州に行って仕事を見つければぜいたくな暮らしができる。途中で死ぬのは怖いが、成功するにはリスクが付きものだ」

 アフリカの密航拠点となっている内陸国ニジェール。その地方都市アガデスで、大工のエメカ・アバンさん(25)は約1300キロ離れたナイジェリアの故郷を出て5カ月、再度の密航機会を待っている。内戦で荒廃したリベリアのほか、ガーナコートジボワールなど貧しい家庭の出身者ら約30人と密航業者の用意した部屋で寝起きする。

 最初の挑戦は今年5月。業者に約6万円を払い、アガデスから車で2週間かけて地中海に面したリビアにたどり着いた。だが、現地で武装集団に拘束され、携帯電話や財布を奪われた。

 暗い部屋に監禁され、家族に身代金を払うよう電話しろと脅された。拒むと尻にたばこの火を押しつけられ、何度も殴られた。母親の兄弟がナイジェリアで45万ナイラ(約14万円)を工面してくれ、約2カ月後にようやくアガデスに戻されたという。

 「ここでナイジェリアに帰国…

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