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 鹿児島市の看護師、椎屋(しいや)美穂子さん(61)は8月末、3人の息子とその家族を自宅に招き、庭でバーベキューをした。

 全員がそろうのは久しぶりだ。

 美穂子さんにはこの日、息子たちに話したいことがあった。ところが、口に出そうとした瞬間、そばで孫がぐずり始めた。

 孫を息子がそっと抱き上げる。話をするのはまた今度でいいのかな。若いころの夫三幸(みゆき)さんにそっくりな息子の姿を見て、自然にそう思った。

 美穂子さんが同い年生まれの三幸さんを胃がんで亡くしたのは、36歳のときだ。ふさぎこむ日々。小学生だった長男からは「ママが悲しむと、ぼくも悲しい」と言われた。

 病床の三幸さんに笑顔で付き添ってくれた女性看護師の姿を思った。看護学校に通い始め、45歳で看護師になった。今度は、自分が末期がんの患者や家族を支えよう。勤め先にホスピスを選んだ。

 たくさんの別れに立ち会った。

 3人の父親という40歳ぐらいの男性患者は毎晩、机に向かい、妻子に手紙のようなものを書いていた。自分も三幸さんに末期がんと伝えていれば、何かを残してくれたのかな。美穂子さんは自分たち家族を重ねた。

 夜勤の晩、男性に自身の経験を話した。「あなたが亡くなっても、家族の支えはあなたしかいませんよ」。天国の三幸さんに伝えたいと思っていた言葉でもあった。男性は「そういうものかな」と表情をゆるめた。

 40代の女性患者からは、中学…

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