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 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が、マレーシアのクアラルンプール国際空港で殺害された事件は、2017年2月の発生から1年半以上たった今も、新事実が次々発掘されています。事件後に捕まった実行役の公判で新しい証言が飛び出したり、口を閉ざしてきた関係者が取材に応じたりしているからです。世界を揺るがした暗殺事件の秘話を紹介します。

【秘話1】突然瀕死、医師たちの攻防

 2017年2月13日朝、マレーシアの空港にいた正男氏の背後から、見知らぬ女が近づいた。目隠しをするように両手で正男氏の顔を覆い、謎の液体を塗りつけた。女が現れてから立ち去るまで、わずか数秒。取材で入手した空港の監視カメラ映像には、その一部始終が記録されていた。

 午前8時58分、マレーシアの首都郊外のクアラルンプール国際空港。監視カメラは、空港3階の出発ホールに向かう正男氏の姿を映している。

 青い半袖シャツの上に、薄いグレーのジャケット。黒いバッグを右肩にかけ、おなかを突き出して、ゆったりと歩く。

 大勢の人が行き交う出発ホールの中ほどで、一度立ち止まる。頭上の掲示板を見上げ、出国便を確認する。再び歩き始め、カフェの横を抜けて、最寄りの自動チェックイン機まで36歩進む。左胸のポケットに手を伸ばし、パスポートらしきものを取り出す。出国ゲートまで40メートルほどの位置だ。

 自動チェックイン機をのぞく正男氏の左前方から、灰色のノースリーブを着た髪の長い女が近づく。なにやら声をかけながら、一歩踏み込む。正男氏が顔を向けたところで、すかさず顔に手を伸ばす。

 と同時に、正男氏の背後から、別の女が飛びつく。白い長袖シャツを着た細身の女。目隠しをするように肩越しに両腕を伸ばし、手のひらを顔になすりつける。

 挟み撃ちにされた正男氏は、体をねじるように反転させ、女たちの手を振り払う。

世界が震えた暗殺事件の裏には、数々のドラマがありました。事件を追い続けてきた記者が、それを裏付ける多数の資料を入手。1万字超の大ボリュームで秘話をお届けします。

■「見知らぬ女だっ…

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