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元東京高裁部総括判事 木谷明さん

 裁判官による表現行為を懲戒に問うことは慎重でなければなりません。当局による懲戒は、必然的に裁判官を萎縮させる効果を伴うからです。

 そういう意味で、今回の件は不幸な事案だったというべきでしょう。ただし実際に行われた行為はいかにも軽率であり、処分自体はやむを得ないと思います。

 「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ? 3か月も放置しておきながら・・」というツイートは、犬の所有者を面白半分に揶揄(やゆ)していると受け取られても仕方のない内容です。読む人に「裁判官ってそういう一方的な考え方をする人種なのか」という印象を与え、裁判官の公平・公正さに関する国民の信頼を裏切る行為と言えます。それ自体、懲戒の対象となる「品位を辱める行状」に当たるといわれても弁解できません。

 私は、裁判官にも私人としての表現の自由はあり、尊重されなければならないと思います。しかし裁判官には、紛争解決に関する最終的手段である裁判という仕事を公正・公平に遂行する重い責務があります。そのために国会に設置される弾劾(だんがい)裁判所の裁判を経なければ、やめさせられることがないといった強い身分保障を受けている事実は軽視できません。そう考えると、裁判官に一般市民と全く同じレベルの表現の自由があるとは言えないのではないでしょうか。

 ですから、私人として行動する際も、裁判への国民の信頼を損ねないよう慎重に行動するべきです。「裁判官といえども、午後5時を過ぎれば一私人だ」という考え方を私は取りません。裁判官は午後5時を過ぎてもあくまで裁判官であって、普通の市民と全く同じ私人ということはできないと思います。

きたに・あきら
1937年生まれ。63年判事補任官。最高裁調査官などを歴任。法政大学法科大学院教授を経て、2012年から弁護士。

 私人としての意見を表明したい…

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