ネット将棋「謎の強豪」正体は藤井聡太 感動さえ与えた

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 史上最年少でプロデビューし、将棋界の記録更新を続ける藤井聡太七段。小学4年生で奨励会入りし、14歳でプロ棋士となるまでの厳しい道のりをたどります。(敬称略)

リラックスして試験突破、関西奨励会へ

 日本将棋連盟のプロ棋士養成機関「奨励会」の入会試験は、全国の将棋の秀才が挑んでも、毎年20人前後しか通過できない狭き門だ。東京と大阪の将棋会館で夏に試験がある。

 高校生棋士の藤井聡太七段が、大阪市福島区関西将棋会館で試験を受けたのは、2012年8月22日。小学4年生の時だった。通常、試験は3日間。受験者の多くが10代で、アマ高段の実力者ぞろい。初日、2日目の「一次試験」で、受験者同士が6局を指し、4勝以上なら3日目の「二次試験」に進む仕組みだった。

 だが、聡太は最終関門の二次試験を受ければ良かった。まだ9歳だった6月30日、通っていた「東海研修会」で「B1クラス」に上がっていたからだ。B1クラス以上で15歳以下の場合、一次試験は免除となる。「F2クラス」から昇級を積み重ねた成果だった。

 二次試験では、プロ入りを目指してしのぎを削る奨励会員と対戦する。奨励会員にとっても公式戦扱いなので、相手も本気で勝ちにくる。その先輩と3戦して一つ勝てれば、晴れてプロの卵になれる。

 関西将棋会館ではこの年、32人が受験し12人が合格。聡太も無事、突破した。だが、そのことについて尋ねると、「(二次で)1勝すれば良かったので……。はい。1勝して、名古屋に帰ったと記憶しています」と答えるだけ。付き添った母の裕子(ゆうこ)は「私は緊張していましたが、本人は割とリラックスしている様子でした」。師匠の杉本昌隆七段も「藤井の奨励会試験のことは記憶に無いんです。絶対、合格すると思っていたからでしょうね」。

 東海研修会の通算成績は13…

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