【動画】CMで話題の「天空の道」UFOラインを走ってみた=堀内要明撮影
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 空がどこまでも遠くに感じる秋晴れの日、天上まで続くような道を愛車で走った。地元で「天空の道」と呼ばれ、トヨタ自動車の新型「カローラ スポーツ」のCMを機に、大注目のドライブルートだ。

 青空と山肌を彩るイブキザサの緑がまぶしい。ハンドル越しに映るのは路面を除き、この2色だけ。太平洋を遠くに望み、西日本最高峰の石鎚山(標高1982メートル)は目の前だ。51歳の記者も思わず、叫んだ。

 「気持ちいい」

 6月からテレビで流れているトヨタのCMは、俳優の菅田将暉さんとモデルで女優の中条あやみさんがカップル役で登場するドライブシーンが印象的だ。美男美女も目を引くが、私はそれ以上に2人を乗せた「カローラ スポーツ」が疾走する風景が気になっていた。

 私はバイクが好きで四国各地をツーリングでよく回っていた。「どこかで見た景色だが」。調べると、あの「UFOライン」だった。

 四国のほぼ中央を走る高知県いの町の「町道瓶ケ森(かめがもり)線」。全長約27キロの町道は、石鎚山に連なる峰々の尾根を縫うように走る。ライダーや地元の住民に「天空の道」と知られ、雄大な山々を望む絶景と天空や宇宙が近いイメージをかけて「UFO(雄峰)ライン」とも呼ばれている。

 トヨタに聞いてみた。国内企画部主任の北村良大さんは「そうなんです。特に秘密にするようなことでもありませんので」とあっさり認めた。

 北村さんも現地に足を運んだという。「尾根筋に沿った緑の中を走り抜けるカローラ スポーツの姿は、コンセプトワードの『気持ちいいほど、新しい。』と『新世代ベーシック。』にぴったりだと感じました」

 CM制作では、インターネットや雑誌、写真集などから国内外で数百件の候補地を抽出し、最終的に「UFOライン」を選んだ。トヨタには「ヨーロッパの高原みたい」「日本の、しかも四国とは思わなかった」といった感想が多く寄せられているという。

 そういえば久しく「UFOライン」を走っていない。バイクもいいけど、「カローラ スポーツ」が駆け抜けたように車で走ってみよう。10月下旬のある日、スバルのレガシィで高知市内から向かった。約1時間半で愛媛との県境を結ぶ寒風山トンネルへ。「UFOライン」へは、さらにつづら折りを30分かけて上がっていく。

 沿道を染めていた紅葉も、標高1300~1700メートルを超える「UFOライン」にたどり着くと、消えた。地元のいの町によると、尾根沿いのため、ササを除いては風雪でほとんどの樹木が育たないという。

 はるか下に錦秋(きんしゅう)の山腹を眺め、尾根をくねる道を走る。山頂近くの緑との対照が鮮やかだ。ため息とともに、思わず「すごいわ」と声が漏れた。

 訪れたのは土曜日。道幅が広がった場所に停車して遊歩道を散策したり、景色を眺めたりする人たちも多い。高松市から訪れた会社員の女性(47)は「WEBで調べて初めて来ました。遊歩道を登って見下ろした尾根や沿道がCMの風景とちょっと重なったかな」と話す。

 バイクを止めてスマートフォンで写真を撮っていた岡山市の男子大学生(21)は「CMと同じ景色を見ながら走り、沿道で写真を撮るのはとても楽しい」と笑った。

 CMの影響を受けていの町観光協会(088・893・1211)には9月以降、毎日のように全国から20件ほどの問い合わせがあるという。「UFOライン」周辺は高地のため、11月いっぱいで年内は閉鎖する。担当者は「訪れるなら今のうちです」。(堀内要明)