[PR]

 食べ物からエネルギーまで自給自足を売りにする宿泊施設「TIMER(タイマー)の宿」が佐賀県にある。インターネットの設備もテレビもなく、スマートフォンを充電するにもひと手間かける必要があるが、各地から宿泊客が訪れている。

 山あいに水田が広がる佐賀県有田町。松浦鉄道蔵宿駅から10分ほど歩いた小高い丘の上に宿はある。

 佐賀市出身の高岡盛志郎さん(41)と、妻で名古屋市出身の博子さん(41)が4月、「自然豊かな土地で子どもを育てながら、ゆったりとした時間の流れる空間をつくりたい」と、長女のらなちゃん(9)、長男の一九(いっきゅう)くん(5)の4人で始めた。「TIMER」は以前佐賀市で営んでいたレストランの名前を使った。

 ミカン畑だった斜面約1500坪を整地した場所に、熱効率を考えた「登り窯」のようなシルエットの宿が立つ。内装や壁は廃材を使い、大工やボランティアなどの協力を得ながら一から建てた、こだわりの宿だ。

 宿は様々な工夫であふれる。「自立した衣・食・住を体験してもらいたい」と通常の電気やガスを使わず、太陽光発電や薪などでまかなう。シーツや寝間着は博子さんが足踏みミシンで作った。

 100%リサイクルを目指し、生ごみは堆肥(たいひ)に、廃材は燃料に。敷地内で飼うヤギの「ホーム」と「ラン」に雑草を食べてもらい、ふんは肥料にする。

 盛志郎さんは「太陽、空気、水、植物といった自然との触れ合いの中で生活を顧みる機会にして、何か気づきを持ち帰ってほしい」と話す。日本食の元料理人で、米国・カリフォルニアでも料理を学んだ経験を生かし、地元の新鮮な野菜をふんだんに使った料理をふるまう。

 豊かな自然を求め、東京や大阪などからも客が訪れるという宿。インターネットの設備もテレビもなく、デジタル機器をあえて置かない「デジタルデトックス」空間にしている。スマートフォンなどは使えるが、コンセントは無く、充電するには手動の発電機で電気を起こさないといけない。博子さんは「モノがあふれる時代。『ない』ことを前提の生活は不便だけれど、楽しいです」。

 宿泊は1日1組限定。プランはコース料理を主とした「カリフォルニアコース」(大人1万5千円)、「素泊まりコース」(大人8千円)がある。さらに家族連れを対象にした「不自由な暮らし自立体験コース」(一家族2万5千円)も。問い合わせは(080・2697・2288)へ。(岡純太郎)