【動画】身近な用水路に潜む危険とは?(予告編)=関田航、矢野英基撮影
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 住宅地や農地のそばにある用水路には、思わぬ危険が潜む。落ちて溺れるなどしてここ数年、全国で年に100人以上が亡くなっている。生活環境に溶け込み、転落が死に直結すると想像しづらいうえ、対策は後手に回っている。

 「おとお、おとお、起きろ――」。2016年4月12日朝。岡山市東区の福田浩一さん(39)は、自宅の裏を流れる用水路(幅約2・7メートル)に飛び込み、父の成生(しげお)さん(当時70)の体を抱き寄せて叫んだ。反応はなく、運ばれた病院で溺死(できし)と判断された。

 現場はJR岡山駅から約10キロの田畑や住宅が混在する地域。成生さんは自転車で近所にごみを出しに行く途中、用水路にかかる柵のない橋(幅約2メートル)を渡っていたとみられる。橋は市が管理し、地元の人たちが使っていた。

 浩一さんは「流れは普段より速く感じたが、水深は1メートルに満たなかった。バランスを崩して落ち、パニックになったのかもしれない」と話す。

 成生さんは約30年前に交通事故に遭い、右半身が少し不自由だった。リハビリを経て地元企業で事務などの仕事を続け、数年前に退職。浩一さん宅の隣で妻の博子さん(69)と暮らしていた。事故の日は孫の小学校の入学式。浩一さんは「ランドセル姿を見たかっただろうな」と悔やむ。

 成生さんが亡くなった数日後、橋に柵が取り付けられた。「事故が起きないと動いてくれないのか」と浩一さん。博子さんは今もその橋を渡れずにいる。

 朝日新聞が47都道府県に用水路での死亡事例を尋ねると、各自治体が把握しているだけで17年度までの3年間に少なくとも計339人が亡くなっていた(岡山のみ「年」単位)。17年度が104人、16年度が125人、15年度が110人。反射神経や平衡感覚が衰えがちな高齢者が目立つ。

 都道府県ごとに集計方法が異な…

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