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 今年も年賀状づくりの季節がやってきた。スマートフォンのメッセージアプリやSNSで年始のあいさつをする人たちが増えて、発行枚数は右肩下がりがつづく。そこで、SNSユーザーに狙いを定めた年賀状商戦が盛んになっている。

名字と年賀状の関係って?

 《あなたの名字『佐藤』さんは全国に約188万7000人います》

 日本郵便のサイト「郵便年賀.jp」で利用できる「ニッポンの名字」は、検索フォームに名字を打ち込むと、電話帳のデータなどから推計した人数や由来を教えてくれる。検索結果はSNSで共有できる。投稿をクリックすると日本郵便のサイトに飛ぶ仕掛けだ。

アンケート「年賀状、出しますか?」実施中
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 珍しい名字を検索して楽しむ人も多く、9月19日のサービス開始後、30万種類を超える名字が1700万回以上検索され、ツイッターなどで話題を呼んだ。

 狙いは名字で年賀状に親しんでもらうこと。一見、関係は薄そうだが、企画チームの一人、郵便・物流営業部の片岡宏介さん(39)は「誰かの名字を検索するときには、その人の顔を思い浮かべる。年賀状も相手のことを考えながらメッセージを書き添える。そこに共通点があります」。

 年賀はがきの当初発行枚数は、2004年用の約44億5千万枚を最高に、減少傾向が続き、19年用は約24億枚。ピーク時の半数近くまで落ち込んだ。

 特に若年層はツイッターやLINEなどで新年のあいさつを済ませることも多い。一方的に「年賀状を出して」と訴えても響きづらい。そこで、近年はネット上で話題になる企画を模索してきた。

 09年用からは、SNSでつながる一方、住所がわからない相手に、年賀状を送れる「SNS年賀」のサービスを始めた。ツイッターやメールの連絡先に日本郵便の事務局からメッセージを送り、年賀状を受け取るかを確認。相手が専用フォームに住所や氏名を登録すれば、その住所宛てに年賀状を送る仕組みだ。昨年度は20代後半~30代の女性を中心に、1千万枚ほどの利用があった。

 今年度の「名字」企画は1年ほど前から検討を始め、「若年層にリーチするSNSで拡散する企画」として広告会社などからアイデアを募った。集まった案をもとに日本郵便の企画チームが練り上げた。

 意識したのは「日本郵便らしくないサイト」。脱力感のあるイラストを使ったり、LINEのやりとりのような吹き出しを使ってテキストを表示したりして、見せ方にもこだわった。

 チームをまとめたデジタルビジネス戦略部の西村哲・担当部長(46)は「メールやSNSを敵視してもしょうがない。毎年ノウハウを積み重ねることで、少しずつ攻めた企画ができるようになってきた」と話す。(遠藤隆史

スマホユーザーをとりこめ

 関連サービスを提供する企業も、スマホユーザーの獲得にしのぎを削る。

 インクジェットプリンターの売れ行きは年賀状シーズンにピークを迎える。ただ、調査会社IDC(東京)によると、インクジェット複合機の出荷台数は、11年度の約536万台をピークに、17年度は約367万台と減少傾向が続く。

 ブラザー工業とブラザー販売(名古屋市)は昨年、年賀状に関するインターネット調査をした。年賀状を出す人は、30代以上は70%を超えたが、20代は51・5%だった。「若い世代はペーパーレス化が進む。印刷する機会を増やしてもらうには、年賀状は重要なきっかけと考えている」(広報担当者)

 ブラザーは14年にスマホアプリを導入。スマホとプリンターがあれば年賀状を印刷できるサービスを進める。昨年からは月刊誌「ムー」と、今年は新日本プロレスと提携して、パソコンでつくる年賀状のデザインを提供する。熱心な支持層に「刺さる」企画で、新たな需要開拓を試みる。

 担当者は「年賀状を出すことが必然ではなくなった今、『年賀状を出すのが楽しい』と思ってもらえるようなコンテンツづくりは欠かせない」と話す。

 「お正月を写そう」のCMで知られる富士フイルム(東京)は、1986年から写真付き年賀状を手がける。同社の年賀状関連の売り上げは、年賀はがきの販売枚数が2004年用にピークを迎えたのに合わせて、減少に転じた。

 従来の写真は長方形が一般的だったが、写真投稿SNSのインスタグラムでは正方形が主流だ。そこで、正方形の写真を複数並べるレイアウトの年賀状を拡充した。今年は約7割を多画面のデザインが占める。

 担当者は「年賀状を外注する市場は伸びしろがある。インクジェットプリンターで印刷する層をどれだけ取り込めるかが一番の課題」と狙いを定める。(辻健治)

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