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 インドで学んだ本格カレーのレストランを40年近く金沢市で営んできた五十嵐憲治さん(69)の悩みは、後継ぎがいないことだった。「この味をなんとか残したい」。そんな思いと店を引き継いだのは、この店に20年以上にわたって通い続けた、ある経営者だった。

 五十嵐さんがインド料理の店「ホットハウス」を金沢に開いたのは1980年。インドを訪れ、スパイスの調合などを独自に研究してきた。20種類以上のスパイスを調合し、複雑な香りが楽しめるマサラカレーや、濃厚な味わいのバターチキンカレーが人気メニューだ。

 日本ではカレーと一緒にナンを食べることすら珍しかった当時から、インドの味にこだわった。シェフは、インドとネパールから五十嵐さんがスカウトしてきた。「石川県で最も歴史のあるインド料理店」とも言われるゆえんだ。一時は県外にも出店したが、今は金沢市内の1店を守る。

 そんな五十嵐さんの店に20代の頃から通い続けていたのが、同じ金沢出身で、カレー好きの宮森宏和さん(44)。五十嵐さんの店のすぐ近くの旅行会社に勤めていたのが、きっかけだ。五十嵐さんのことを「マスター」と呼び、慕ってきた。

 そんな宮森さんは2003年、脱サラを決意する。変化を嫌う旅行会社の社風に違和感を覚えていた。同世代で同じ石川県出身でもある松井秀喜さんが米大リーグで活躍する姿に触発され、カレーで勝負したくなった。

 五十嵐さんに「カレーの店をやりたい」と相談し、翌年、1号店を東京に出した。国内外に80店以上を展開するチェーン店「ゴーゴーカレーグループ」に育て上げた。

 一方の五十嵐さんは、経営するホットハウスの後継者がいないことに悩んでいた。宮森さんは、故郷の金沢で本格インドカレーが食べられなくなれば、「自分にとっても地域にとっても損失」だと考えた。16年秋、経営を受け継ぎたいと申し出た。「やる気のある人に100年引き継いでほしい」。そう考えていた五十嵐さんの思いとかみ合い、話がまとまった。

 宮森さんの「ゴーゴーカレー」…

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