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 あの朝、テレビから流れてきた「あつま」が「さつま」に聞こえた。画面には見渡す限り山の斜面が崩れ落ちた映像。鹿児島県さつま町の地域おこし協力隊員、国師(こくし)えりなさん(27)は、あわてて窓を開けたが、あたりの様子はいつもと変わらない。北海道地震だった。

 9月6日以降、最大震度7の揺れに見舞われた北海道厚真町の深刻な被害が刻々と伝えられた。何度も町の名前を聞き間違えた。雑踏の中で自分の名前を呼ばれたような気がして振り向くと勘違い――そんな感じだった。

 国師さんは4月に山口県から帰郷する形で隊員になったばかり。鹿児島市出身でさつま町のことは「まだまだ勉強中」というが、国師さんの提案で、10月18日から厚真町への災害支援募金が町内で始まった。キャッチフレーズは「S+AtsumaでSatsumaに」。厚真町を支援する「S」を持つさつま町。その町民から「S」が寄せられることを期待する。

 厚真とさつまの一字違いに戸惑ったのは国師さんだけではなかった。職場の町商工観光PR課の人たちもそうだった。鹿児島市に住む母親からもあの朝、LINEのメッセージが届いた。「町の名前、似ているね」。直線距離で1500キロメートルあまり離れた厚真町を身近に感じた。

 何かできないか? 同じ職場の町職員と考えた。支援物資より、やっぱりお金かな? どうすればいいんだろう? ぼんやりとした思いは、間もなく募金という形に落ち着いた。町の幹部会議でゴーサインが出たのは10月13日だった。

 12年前の夏、さつま町は豪雨…

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