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 柔道の講道館杯全日本体重別選手権大会最終日は4日、来年の世界選手権(東京)1次選考会を兼ねて千葉ポートアリーナで男女7階級があり、男子90キロ級は2016年リオデジャネイロ五輪金メダルのベイカー茉秋(日本中央競馬会)が初優勝した。同100キロ級銅メダルの羽賀龍之介(旭化成)は決勝で優勢負けした。高校生対決の決勝となった女子48キロ級は、芳田真(滋賀・比叡山高)が古賀若菜(福岡・南筑高)を下した。

 今大会の上位進出者と世界選手権代表らが今月23~25日のグランドスラム大阪(朝日新聞社後援)に出場する。

 優勝への渇望がベイカーの底力を引き出した。男子90キロ級の決勝。先に技ありを奪われた。残り時間は30秒余りで大内刈りで技ありを取り返す。さらに延長49秒、相手の背後をつかみ、もがく相手を右からの小外掛けで引きずり倒した。

 大勢の記者に囲まれたベイカーは「久しぶりだな」と笑った。今年は2月の国際大会で2位、4月の全日本選抜体重別選手権でも2位、8月のアジア大会は3位に終わった。金メダルをつかんだ2016年リオデジャネイロ五輪を最後に、2年以上も優勝できなかった。「もう2位は嫌だ」。敗色濃厚だった決勝は、その思いが逆転勝利に結びついた。

 「リオ五輪の後はつらいことの方が多かった」。17年春に脱臼で手術した右肩の患部が痛み、術後の3カ月は走ることもできなかった。鋼のように鍛えていた肉体から筋肉がそげ落ちた。「築き上げてきたものがすべて、水の泡になったような感じだった」。復帰後も勝てない。今年の世界選手権を、テレビで見ている自分が情けなかった。

 この大会前は母校の千葉・東海大浦安高に通った。入学時は66キロ級の目立たない選手だった自身を強く、大きくしてくれた道場で、初心に戻って基礎練習を積んだ。「金メダルを取った自分は捨てた。この優勝がスタートラインになる」。男子90キロ級の東京五輪代表争いに、大本命が戻ってきた。(波戸健一)

芳田「まさか優勝できるとは」

 新鋭が顔を合わせた女子48キロ級の決勝は、高3の芳田が一つ下の古賀に絞め技で一本勝ち。「初出場で緊張していた。まさか、優勝できるとは思っていなかった」と初々しく喜んだ。姉は今年の世界選手権女子57キロ級を制した芳田司(コマツ)。その背中を追い、姉の得意技である内股を見よう見まねで練習してきた。「姉を超えたい。ライバル心があります」