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 千葉県富津市金谷と神奈川県の横須賀市久里浜を半世紀以上にわたって結んでいる「東京湾フェリー」(本社・横須賀市)。公共交通機関として親しまれているが、東京湾アクアラインの開通後、利用客は最盛期の約3割にまで激減した。東京湾周遊、婚活クルーズ……と船の魅力を生かした企画で新たな活路を開いている。

 同社は現在、「かなや丸」(3580トン)と「しらはま丸」(3351トン)の2隻の貨客フェリーを運航し、金谷港―久里浜港(11・5キロ)を40分で結んでいる。通常の定期便は1日24便(12往復)で、土日や夏休みといった繁忙期は28便(14往復)に増える。

 1960年5月、500トンフェリー2隻で運航を開始。利用客の増加に伴い66年から3隻態勢になった。その後、バブル景気もあって、東京や神奈川などから房総地域のゴルフ場を訪れるゴルファーらで乗客は増え続け、94年度の年間利用客は約280万人に達した。

 だが、97年12月の東京湾アクアラインの開通で状況は一変する。98年度の利用客は約194万人に激減した。決定的だったのが2009年8月のアクアラインの通行料金の値下げだ。ETC利用の普通車が800円になった影響で、09年度の年間利用客は約98万人まで落ち込み、10年にはフェリー1隻を売却して2隻態勢にした。最近の利用客は年間85万人ほどという。

 寺元敏光・常務取締役(55)は「公共交通機関としての使命をしっかり担いつつ、船のレジャー性を生かしたクルーズを試みた」と話す。「東京湾周遊特別クルーズ」と、船上婚活パーティー「ふねコン」を数年前から始めた。「利用客が比較的少ない時間帯に、定期便の1隻を汎用(はんよう)している」と寺元さん。

 東京湾クルーズは原則、毎年5月に実施している。東京湾アクアラインを巡り、羽田空港沖合で海上からしか見られない旅客機の迫力ある離着陸の光景を観賞。横浜港に出入港する大型客船や横須賀基地に出入港する米軍艦船を見ることもできる。様々なアトラクションもあり、人気という。参加費は大人6千円(大人同伴の幼児は無料)、小学生5千円。

 「ふねコン」はこれまで20回以上行っており、毎回、男女数十人が参加。カップル成立の割合は比較的高く、結婚した男女も多いという。今年は12月23日に予定しており、40代までの独身男女30人ずつの参加者を募っている。参加費は男性9千円、女性3千円。

 このほか、花火大会や海上自衛隊の観艦式に参加する艦船を観賞するクルーズも好評という。

 寺元さんは「気軽にフェリーに乗って海からの情景を満喫して欲しい。普段気付かない房総の魅力を再発見できるはずです」と話す。

 「ふねコン」などの問い合わせ・申し込みは「東京湾フェリー」(046・830・5622)へ。(吉江宣幸)