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原発訴訟 原告の思い

 小学生のころ、淡い恋心を抱いた。相手は近所の12歳年上のお兄さん。その人と25歳までに結婚して故郷に住み、祖父母や両親のように故郷で子どもを産み育てる――。

 これが「津島訴訟」原告の三瓶早弓(さゆみ)さん(28)の夢だった。夢をかなえたかった場所は福島県浪江町津島地区。「あの日」まで毎日、楽しく暮らしたふるさとだ。

 《学校に行くときは、畑仕事をしているおばちゃんが「おはよう」とあいさつしてくれます。帰りは、ダンプを運転するおじさんが運転席の窓を開け、「早弓、いま帰りか。気を付けて帰りなよ」と話しかけてくれます。地域のみんなが「津島」という大きな家族のような存在でした。》(今年7月の意見陳述から)

 東日本大震災の激しい揺れに襲われたのは、津島の自宅でテレビを見ていた時だった。「みんな死んじゃう」と泣き叫ぶ3歳のおいっ子をなだめることしかできなかった。4日後、家族10人で津島を後にした。

 《すぐ戻れると思い、数枚の着替えしか持っていきませんでした。まさか7年たっても津島に帰れないなんて、考えもしませんでした。避難を始めてからの4カ月近く、生理がきませんでした。産婦人科に行くと「ストレスや精神的な不安が原因」と言われました。》

 10人の大家族は一緒に住めず…

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