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 2015年の日韓慰安婦合意をめぐり元慰安婦らが基本的な人権を侵害されたとして憲法裁判所に違憲判断を求めた訴訟について、韓国外交省は5日、元慰安婦らの訴えを却下するよう求める答弁書を同裁判所に提出していたと明らかにした。

 同日、韓国紙「韓国日報」が1面で報じたのを受け、同省が明らかにした。提出は6月だったという。

 元慰安婦らは、当事者の意見を聞かないまま「最終的かつ不可逆的な解決」をうたう合意がなされたことで、日本から損害賠償を受ける権利が遮られたなどと主張。これに対し、外交省は答弁書で「合意は法的な拘束力のない政治的合意で、公権力の行使とまで見ることはできない」として憲法上の権利は侵害しないと主張したという。

 合意の法的性格について日本外務省は「両国の首脳が深く関与した政治合意であり、条約など国際約束に近い重みがある」としてきた。韓国外交省の答弁書は訴訟が日韓関係の火種になるのを回避する狙いもあったとみられるが、合意の重みをめぐる日韓政府の違いが浮き彫りになった形だ。

 韓国外交省は、答弁書について「合意の正当性を擁護するものではなく、違憲かどうかの判断を求める訴訟について、法理的な側面から焦点を当てた内容」だったとも釈明。「合意は慰安婦被害者問題の真の解決にはならず、被害者の意思を反映しないなど多くの問題があるといった意見も盛り込んだ」とした。

 一方、元慰安婦らを支援する市民団体は、外交省の答弁書が訴えの却下を求める意見だったことを批判し「失望と怒りを禁じ得ない」との声明を出した。(ソウル=武田肇)