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 11月3日、東京都府中市にある東京競馬場は大歓声に包まれた。

 まるで大レースが行われているかのような雰囲気をもたらした主役は、オジュウチョウサンという牡(おす)7歳のサラブレッドだった。出走したレース、南武特別はオジュウチョウサンにとって約4カ月ぶりの実戦だった。当初は9月のレースに出走を計画していたが、体調が整わず、この日まで復帰が延びていた。

歴史に残る「名ジャンパー」

 オジュウチョウサンは歴史に残る「名ジャンパー」だ。コースの途中に設けられた障害物を次々と飛び越えていく障害レースで白星を積み重ねてきた。日本中央競馬会(JRA)の表彰制度、JRA賞では2016、17年と2年連続で最優秀障害馬に選ばれている。

 そんなオジュウチョウサンに平地再挑戦というプランが浮上したのは、今年の5月下旬ごろだった。オーナーの長山尚義さんは、その理由について、昨年の有馬記念のファン投票での出来事を挙げた。13年11月を最後に「平地」競走に出走していないにもかかわらず、オジュウチョウサンはファン投票77位の1278票を集めた。障害レースに対し、普通のレースを「平地」という。

 有馬記念出走という「ファンの夢に応えたい」(長山オーナー)。そのためには、少なくとも平地レースで1勝を挙げなくてはならないルールがある。平地挑戦の第一歩は7月の開成山特別だった。

 4年8カ月ぶりの平地復帰戦に選ばれた開成山特別は、芝2600メートルの長距離戦。障害レースで培ったスタミナに恵まれたオジュウチョウサンには最適だと思われた。単勝2・0倍という圧倒的な1番人気に支持されたオジュウチョウサンは、手綱を取る武豊騎手と初コンビとは思えないほどのコンビネーションを見せ、2周目3コーナーすぎからスパートすると、そのまま先頭でゴールに飛び込んだ。

平地復帰2戦目、武豊がガッツポーズ

 平地復帰2戦目の南武特別(芝2400メートル)は開成山特別に比べ、対戦相手のレベルが一段階上がっていた。苦戦が予想され、7頭立ての3番人気だったが、レースは早めに先頭に立って押し切る強い内容。ゴールでは武豊騎手がガッツポーズを見せた。

 「人気のある馬だし、勝ちたいと思っていました。まだタイムなど一線級とは差があると思いますが、平地に戻って2戦目。伸びしろはあると思う」。JRA4000勝ジョッキーは中身のある勝利を喜んだ。

 12月23日の有馬記念(中山競馬場)まで1カ月半。直行するか、間に1戦を挟むかは未定だ。ファン投票で10位以内の得票を集めれば、念願の有馬記念出走がかなう。

 1992年の有馬記念では障害から平地に戻ったメジロパーマーが優勝したことがある。ただ前評判は低く、16頭立て15番人気で、勝った時には伏兵と呼ばれた。

 平地と障害の二刀流をこなすオジュウチョウサンの人気はうなぎ登りで、キャラクターグッズの売り上げも伸びている。有馬記念までオジュウチョウサンの注目度はさらに上がっていきそうだ。(有吉正徳)