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 大相撲の一年を締めくくる九州場所(11日初日、福岡国際センター)で賜杯(しはい)とともに争われるのが、年間最多勝の称号。しかし、近年、勝ち星は大きく伸びず、今年も最多は「60勝台」になりそうだ。横綱の相次ぐ休場も背景にあるが、次代を担う実力派の不在が、数字低調の原因の一つとみられる。

 過去、その年の“顔”と言える力士が手にしてきたのが、年間最多勝だ。

 年6場所制(90日間)となった1958年から昨年までの60年間で、最多勝力士の平均勝ち星は73・2。最多獲得者は9年連続を含む10度の白鵬で、2009、10年は歴代最高の86勝を記録した。

 さて、今年。5場所(75日間)を終えてトップは、ともに1場所ずつ途中休場した横綱鶴竜と大関栃ノ心で51勝だ。どちらかが九州場所で全勝(15勝)しても、66勝にとどまる。だが、鶴竜は休場が決まり、昨年は全休を含め2場所休場した白鵬が過去最低の56勝で戴冠(たいかん)しており、15年から4年続けて70勝に届かない異例の事態になる。

 6場所制で年間70勝未満の最多勝が2年続いた例は、今回を除いて3度しかない。年間最多勝の数字が低くなる時期は、総じて、横綱の衰えと次世代力士の台頭が絡み合ってきた兆しでもあった。

 まず68、69年。「柏鵬時代」を築いた大鵬、柏戸の成績が下降線をたどったタイミングで、68年は大関玉乃島(後の玉の海)が69勝、翌年は大関北の富士が63勝で最多勝に輝いた。2人とも、後に横綱に昇進している。

 続いて91、92年。千代の富士、旭富士、大乃国、北勝海と4人いた横綱が、この2年間で全員引退。91年は大関霧島が62勝、92年は当時20歳の貴花田(後の貴乃花)が60勝で最多勝に。貴花田は勢いのまま全盛期へと向かった。もう一例はモンゴル出身の朝青龍が連覇した02年(66勝)、03年(67勝)。貴乃花、武蔵丸の現役終盤と重なり、取って代わるように頂点に登り詰めた。

 70勝未満の最多勝が4年続く今年は、けががちの白鵬が成績を落とし、下位との差が縮まったことが要因と言える。ただ、過去と違い、突き抜けてくる若手がいない。

 平成生まれをリードしてきた大関高安は、賜杯を手にできないまま28歳になった。「次世代のエース」と言われる25歳の御嶽海も、今年名古屋場所で初優勝を果たしながら大関の地位を射止められない。30歳代の3横綱を追い落とすのは、22歳の小結貴景勝ら、さらに下の世代なのか。

 平成最後の九州場所。ファンは、団子状態を抜け出し、次の時代を担うスターが現れるのを待っている。(鈴木健輔)

今年の幕内勝ち星上位

①鶴竜  51勝15敗9休

 栃ノ心 51勝16敗8休 

③御嶽海 46勝29敗 

④高安  44勝16敗15休

⑤逸ノ城 43勝32敗 

 魁聖  43勝32敗 

過去10年の年間最多勝

08年 白鵬② 79勝11敗 

09年 白鵬③ 86勝4敗 

10年 白鵬④ 86勝4敗 

11年 白鵬⑤ 66勝9敗 

12年 白鵬⑥ 76勝14敗 

13年 白鵬⑦ 82勝8敗 

14年 白鵬⑧ 81勝9敗 

15年 白鵬⑨ 66勝12敗12休 

16年 稀勢の里① 69勝21敗 

17年 白鵬⑩ 56勝9敗25休 

※丸数字は獲得回数。八百長問題で春場所が中止となった11年は5場所での成績