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 オウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚(執行時63)の遺骨や遺品が、死刑執行から4カ月たっても東京拘置所で保管される異例の事態が続いている。引き取りをめぐる遺族の対立などが原因とみられるが、遺品の中には、逮捕時に身につけていた「ヘッドギア」や衣服もあり、公安当局が行方を注目している。

 刑事収容施設法や関係法令では、死刑が執行された後の遺体や遺品は、本人が指定した人に引き渡すことが定められている。だが、受け取りをめぐって遺族間で争いが起きた場合は、民法の相続規定に基づいて所有権が判断される。

 関係者によると松本元死刑囚は、衣服や書籍などが入っていた段ボール数箱を拘置所で持っていた。7月6日の執行時に刑務官から遺体と所持品を誰に引き取ってもらうか聞かれ、四女を指定したとされる。だが、松本元死刑囚の妻や次女、三女らは「(松本元死刑囚の)精神状態からすれば、特定の人を引き取り人として指定することはあり得ない」と主張し、拘置所側に抗議している。

 今後、妻側と四女側の間で折り合いがつかなければ、裁判に発展する可能性がある。その場合は、松本元死刑囚の意思の解釈が争点となりそうだ。公安当局は遺骨が教団の後継団体などによって神聖視される可能性を警戒しているが、「ヘッドギア」なども教団の象徴的な存在として崇拝の対象になる可能性があるとみて注視している。

 四女は遺骨を太平洋に散骨する意向を示したうえで、信徒らが「奪還」を試みる可能性もあるとして、国の支援を求めている。代理人の滝本太郎弁護士は「遺品の中には遺骨と同じく宗教的意味合いを持つものもあるだろう。国が処分してほしい」としている。遺品について、妻側の代理人は取材に応じていない。(浦野直樹、酒本友紀子)