【動画】トリプルクロス看板のクラウドファンディング=森岡みづほ、柴田悠貴撮影
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 ♪土佐の 高知の~♪と「よさこい節」にも登場する高知市の代表的観光スポット「はりまや橋」。だが何の変哲もない朱塗りの太鼓橋は「日本3大がっかり名所」の筆頭格に挙げられる。そこに救世主のごとく現れた新名物・路面電車の「トリプルクロス」をPRする看板が交差点脇に登場する。費用は全国からネットで募るが、お礼の目玉は「夜のトリプルクロス」招待だ。

 はりまや橋のすぐ脇、幹線道路が交わる高知の「銀座4丁目」的存在のはりまや交差点で、3両の電車が同時にすれ違うのがトリプルクロスだ。

 交差点には東西・南北方面の複線線路が平面交差する「ダイヤモンドクロッシング」がある。加えて、各方面からの左折用線路4本と北から西への右折用が1本。この唯一無二の配線と昨春のダイヤ改定が「奇跡の光景」を生み出した。

 平日午前8時12分ごろ、南北方向の信号が右折表示になる間に、北→西、西→北、東→南に進む3両が同時に交差点内を通過する。ただし運が良ければ。ダイヤ上では成立せず、乗降時間や信号のタイミングなどで1両が微妙に遅れた時にだけ出現するためだ。

 昨夏ごろから鉄道ファンの間で「知る人ぞ知る」新名所となり、新聞やテレビでも取り上げられた。交差点に面する銀行が電光掲示板でPRしたり、ホテルが部屋からトリプルクロスを眺められるプランを用意したりと、ご近所もバックアップ。電車を運行するとさでん交通も交差点北東にある自社ビルにトリプルクロスをPRする看板の設置を決めた。

 看板は縦約2・9メートル、横約3・2メートル。ビル屋上からの写真や図解とともに日本語と英語で「奇跡(軌跡)の交差点」を説明する。

 60万円の費用はクラウドファンディングで募集する。1口3千円からの9段階で最高額の2万5千円の特典は夜の「トリプル・クロス乗車体験撮影会」。1月中~下旬の夜、明治時代の電車を再現したレトロな「維新号」とポルトガルから来た外国電車など3両を使って特別演出する。トリプルクロスを2度演出し、招待者は車内と交差点から撮影できる。2万円の人は同じ日に走らせる「おきゃく(土佐弁で宴会の意味)電車」に招待。両方に応募した人は、おきゃく電車を楽しんだ後に撮影会に参加できる趣向だ。

 ほかにも土佐和紙を使った路線図、トリプルクロスのペーパークラフトやジグソーパズル(いずれも今は非売品)など金額に応じたグッズとともに、応募者全員に片岡万知雄社長直筆のイラスト入り礼状が届く。

 片岡社長は「はりまや橋周辺は歴史も古く、分岐があるダイヤモンドクロッシングもここだけ。『がっかりだけど、実はすごい』ことを全国の人に体験してもらいたい」と意気込む。

 トリプルクロスの名付け親で高知市観光ボランティアの三井幸一さん(63)は「私の名前はトリプルの三にダイヤモンドクロッシングの井。宿命のようなものを感じる。鉄道遺産だと思うので、日本だけでなく世界中の人にも知ってもらいたい」と期待している。

 クラウドファンディングは11月7日午前11時から1カ月間、サイト「Makuake」(https://www.makuake.com/project/tosaden/別ウインドウで開きます)で募集する。トリプルクロス撮影会の2万5千円コースは18人限定、おきゃく電車の2万円コースは24人限定。(森岡みづほ)